大震災・茨城から(2)薬・器具不足 綱渡り診療 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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 福島県に近い茨城県北部では、震災発生の直後、医療用器具などの支援物資が届かない医療機関があった。ガソリン不足に加え、福島第一原発の事故の影響により、物流がうまく機能しなかったためとみられる。

 物資が供給されるまで医療機関は在庫などで持ちこたえた。医療物資がなくなることを懸念しながら、綱渡りの診療を強いられた医療機関もあった。

 同県北部の日立市にある秦(はた)病院では、震災が起きた3月11日、約120人の入院患者がいた。半数は寝たきりの高齢者で、水分や栄養、薬剤の点滴が必要な患者も多かった。

 翌日にかけて、ふだんの10倍の約50台の救急車も受け入れた。マスクや手袋、注射器などの在庫はどんどん減っていった。

 筑波大病院(同県つくば市)は県北部の医療機関に派遣した医師などから医療物資が足りなくなっている情報をつかんだ。医療物資がなくなれば、診療を続けることはできなくなる。同病院は3月20日、院内に物資供給の拠点となる「緊急医療材料供給センター」を設置し、支援活動に乗り出した。

 医療物資は心肺蘇生法の普及活動を行うNPO法人「日本ACLS協会」などを通じ、約8700万円相当分をかき集めた。いったん同センターに保管し、その上で県医師会などを通じ、各医療機関に送られた。

 秦病院には3月21日、マスクや手袋、点滴用チューブ、注射器などが届けられた。同病院事務部長の後藤重史さんは「他の医療機関よりも多い約2週間分の在庫があったが、支援があと数日遅れたら、診療を続けられなくなっていたかもしれない」と話す。

 同病院に入院していた女性(77)は3月25日、ぜんそくが悪化。発作を抑えるステロイドや感染症を予防する抗菌薬などの点滴を2週間、続けた。

 その結果、症状は落ち着いた。点滴に用いる医療用チューブなどがなかったら、治療を続けることはできなかった。女性は「よくしてもらえてありがたい」と感謝する。

 ただ、同センターが送ったはずの物資が4月になるまで届かなかった医療機関もあった。足りない物資の品目や分量などの情報伝達が、医師会や医療機関の間でうまくいかない面もあったためだ。

 筑波大病院救急・集中治療部副部長の安田貢さんは、「災害時の支援は時間がかかっては意味がない。今後は、県や医師会との連携を強化し、足りない物資や分量などを迅速に把握し、支援を行える仕組みを作っていきたい」と話している。

(2011年6月28日 読売新聞)