こころの未来研究センター(京都大学) | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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紹介文

こころの未来研究センター長  吉川 左紀子

京都大学こころの未来研究センターは2007年4月に発足し、研究活動を開始することになりました。本研究センターは、異なる学問領域の研究者が集い、こころに関する学際研究を推進する、他に類をみないユニークな研究組織です。

「こころの未来」という名称には、こころのうちに生まれる未来の時間、成長するこころが生きる未来社会、という二つの「時」の概念が織り込まれています。私たち、センターに所属する研究者は、これから本研究センターで実施してゆく学際研究の成果によって、この二つのこころの時間がより豊かなものになることをめざしています。

こころは、私たち一人ひとりのうちにある、かけがえのない「何か」であり、直接目で見ることのできないはたらきです。私たちにとって、身近な存在であるはずのこころですが、そのはたらきの不全・不調から生まれるさまざまな問題が、21世紀を迎えた現代社会の中で、多くの困難な事態を引きおこしています。とつぜんの感情の暴発、人との関わりの拒絶、無気力・無関心、自損行為、依存癖等々、こうしたこころの在りようは、なぜ、何を契機として生じるのでしょうか。どうすれば、人はそうした状態に陥らずに、豊かで生き生きとした、自律的なこころを自ら育むことができるのでしょうか。

こうした問いに対する答えをみつけることは、そう簡単ではありません。問題を解く手がかりを見出すには、進化という時間軸上で生まれた生物としての人のこころ、歴史や文化という風土の中で生きる人のこころ、誕生から死までのライフサイクルの中で生きる人のこころ、という3つの時間の流れの中で、人のこころの特徴を捉える、統合的な枠組みが必要です。こうした枠組みのもとで、知性、感情、意識、価値観、共感、コミュニケーションといった、多様なこころのはたらきひとつひとつを実証的・実践的に明らかにすること、さらに、こうした個々のはたらきが、どのようにして豊かな個性をもったひとりの人間の「こころ」として、調和した機能をもちうるのかをもう一度問い直すこと、その丹念な研究の積み重ねによって、初めて、先に挙げたさまざまなこころの問題に対する解決の糸口が見出せるのではないでしょうか。本センターはこうした統合的アプローチを積極的に取り入れ、その成果を広く社会に発信してゆきたいと考えています。

現在、多くの学問分野で、人のこころについての研究が進められています。しかし、いずれの分野でも専門化・細分化が進み、ともすれば、研究者の思考そのものが、ミクロな世界あるいは抽象的な思考の世界に入り込み、リアリティをもった、等身大のこころのはたらきを見失う危険性をはらんでいます。こうした現状を変えてゆくには、それぞれの学問分野における専門家が学際的に協同し、等身大のこころの姿をもう一度視野の中心に据えて研究を行なう場が必要です。本センターでは、このような考え方のもと、総合的研究拠点としてこころに関する多様な連携・融合研究プロジェクトに取り組みます。加えて、国内、国外の研究組織を結ぶ研究者ネットワークを構築し、その相互交流を促進することにより、本センターが、新たな連携研究・融合研究を生み出す創造的な学際空間として機能することをめざします。また、ウェブサイトからの情報発信、公開フォーラム、ワークショップ、セミナー等の開催を通じて、センターの研究活動、研究成果、こころに関する科学的知識等を広く社会に発信する役割も積極的に果たしてゆきたいと考えています。本センターの活動に対する、あたたかいご支援をよろしくお願いいたします。


お勧めサイトです^^ぜひアクセスしてみて下さい(ペコ)

一般公募で、こんな研究もしています。

こころと身体をつなぐメディアとしての味覚研究:食の「質」をふまえた食教育の検討

http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/project/2009/04/post_19.html

研究代表者
金子 佳代子 横浜国立大学教育人間科学部 教授

連携研究員
山極 壽一 京都大学理学研究科 教授
川村 協平 山梨大学教育人間科学部 教授
Norasakkunkit, Vinai ミネソタ州立大学 准教授
山内 太郎 北海道大学大学院保健科学院 准教授
荒牧 麻子 女子栄養大学 非常勤講師
山中亜希子 篠山チルドレンズミュージアム・事業主任

共同研究員
藤原 辰史 京都大学人文科学研究所 助教
大石 高典  京都大学こころの未来研究センター 研究員
清野(布施)未恵子 京都大学人間・環境学研究科・研究員

センター参加教員
鎌田 東二 京都大学こころの未来研究センター 教授

現代社会では「食」の危機や崩壊が叫ばれて久しく、この傾向に警鐘を鳴らし、食い止める為の実践活動が教育現場で盛んになっている。例えば、国民に向けた食の重要性を啓蒙するための「食育基本法」 が平成17年6月に成立し、「子供たちが健全な心と体を培い、未来や国際社会に向かって・・・」との基本方針のもと、数かすの試みが教育現場や地域活動を中心に実用化されてきた。しかし、具体的に食の何をどのように子供たちに教えることが適切なのか、科学的な根拠に基づいて十分議論されぬままに実践が進められている。とりわけ、食には栄養化学的な側面のほか、生理・生態学的な側面や心理・社会・文化的な側面があるが、日本ではまだ短い食育研究史の中で、これら食の質にかかわる点はほとんど検討されてこなかった。本研究では、人類進化論的観点から「ヒトの食」の位置づけを確認した上で、「味覚」に焦点を当て、「味わうこと」を学際的な視点から整理する。「食べること」の現代的な「役割」を浮き彫りにした上で、日本人の文化的な側面としての「食」とこころと味覚との関連を解き明かし、「食・味わい」とヒトの成長・発達・発育に及ぼす影響を検討する。以上の理論。実践研究の成果をもとに、子供の発育、発達にふさわしい味覚教育のプログラムを新規に構築・開発する。