昔の人は百歳になっても元気だった⁈　～「素問」上古天真論より～

　新年も３週間過ぎようとしていますがいかがお過ごしでしょうか？　今年は年明けから能登半島では大きな地震が発生し、甚大な被害が出ています。今年の「運気」からしても水害や災害が多い年のようですので、十分な備えや注意が必要です(^^;)　
 
　季節的に今は晩冬、二十四節気では１月２０日から「大寒」となります。節分が来れば次の日が立春ですので、そろそろ春の兆しが、という時季ですね🌸　いずれにしても、１年の中でも一番寒い時期ではあるのですが、今年は微妙です💦　たまには寒いですが、基本的には暖冬に間違いない気温の日がほとんどな気がします🌞
　
　そんなちょっと異常な冬ではありますが、東洋医学では冬といえば「腎」。その腎の成長、衰えについて少しお話ししましょう。
　人間の成長・発育、そして老化に影響が大きい五臓として、東洋医学では腎を挙げています。東洋医学でいう五臓は肝、心、脾、肺、腎の５つですが、その中でも腎は成長するのが最も遅く約２０年もかかります。その上、衰えるのは一番早い臓器です。
　東洋医学の古典である「素問（そもん）」の上古天真論に、年齢と成長過程との関係が書かれています。現代医学の考えと合うか、自分と比べてどうか、など考えてみて下さいね(^_-)-☆
　
　①永久歯が生え、髪が伸びる年。女は７歳、男は８歳。
　②男子は生殖能力が具わり、女子は月経が始まる。女は１４歳、男は１６歳。
　③知歯（親知らず）が生える。女は２１歳、男は２４歳。
　④最も充実した身体になる。女は２８歳、男は３２歳。
　⑤顔にしわが生じ、抜け毛が始まる。女は３５歳、男は４０歳。
　⑥白髪が出だす。女は４２歳、男は４９歳。
　⑦女は４９歳で月経停止。男は５６歳で身体全体が老化する。
　⑧男は６４歳で歯も髪も抜けてしまう。
　いかがでしょうか？「全然違う！」とか「確かに！」と様々な感想があると思います。ちなみにそこそこ有名ですが、「女は７の倍数、男は８の倍数で身体が変わる」というのはここからきています。この内容は当時の中国（約２千年前）での平均的な話ということではありますが、参考になりますね。またこれは腎の発育、老化の状態を示しているとも言われます。
 
　ざっと現代と比べてみて、成長発育は食べ物などの栄養事情が良くなったこともあって早くなり、老化はそこそこ同じかやや遅いぐらい、寿命は医学の進歩などで伸びている、といったところでしょうか。
 
　ところでこの上古天真論、前半で「昔の人は百歳になっても元気だった。今どきの人は五十歳になるともうヨボヨボだ。その理由を聞かせてくれ」という黄帝の問いかけがあります。昔は百歳まで生きていた⁉となるとその理由が気になりませんか？(笑)
　岐伯先生の答えは
 
①飲食に過不足が無いようにすること。
　→　好きだからといって食べ過ぎはダメ！　バランスの良い食事が大切です。
 
②心身の過労を戒める。
　→　精神的なストレスなどが体に影響を及ぼすことを指摘しています。東洋医学は古くから心と体の関係を言っていて、怒る、喜ぶ、思う、憂う、悲しむ、恐れる、驚くといった「七情」を体に影響の大きい精神的な動揺として挙げています。（＊七情自体が悪いわけではなく、それが度を過ぎると体調に異変をきたすという指摘です）　もちろん肉体の酷使や過度の疲労も気をつける必要があります。
 
③酒に酔ってのセックスは良くない。
　→　セックスは活動的なものであり、体の「陽気」（身体を動かすエネルギー）を多く使います。酒の勢いで陽気を使うと、セックスで消耗し酔いがさめる時さらに消耗します。二重に陽気を奪われるため、後日体がだるくなり、冷えて下痢をする、と書かれています。
 
④春夏秋冬の自然の状態に調和した生活をするのが良い。
　→　自然に調和するという考え方は、素問に一貫して述べられている天人合一の考え方です。例えば今の冬の時季は陽気の少ない季節であり、人間も活動を少なくして動き過ぎないのが良いということになります。
　
　いかがでしょうか？
　参考になる部分も多いと思います。
　最後の④の「自然と調和」という考え方は、現代では自然を感じにくい生活、というのもあって忘れかけていますが、人間は大なり小なり自然環境、季節の影響を受けて生きています。今一度見直す必要があるのでは、と思います(^^)
　
　上の①から③のような岐伯先生の答えのようなこと、そして④のそれぞれの季節の養生を正しく行っていけば、身体は整い、伸びやかに、元気になります。それらの生活習慣や食養生を健康の基礎として、加えて漢方や鍼灸を体調に合わせて取り入れていけば、不調はより早く改善します。
　身体の不調で気になることがありましたら、気軽にご相談くださいね(^_-)-☆
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