<病症> 食欲旺盛。便秘がちだが便秘していない場合もある。冷えのぼせ、腰痛、月経不順、子宮出血、肩こりなどがある。これを書かれた愛媛の池田政一先生は不妊症でよく使われるとのこと。
<病理> この処方は前回も登場した、森道伯によって考案されたもので、「活血、冷血熱、駆瘀血の目的で用い、子宮出血を主治する」としている。基本的に瘀血(おけつ。血の巡りが悪い部分がある状態)があることを目標に、いろいろな疾患を治すことができる。
本方の組み合わせは、四物湯、四逆散、桃核承気湯、桂枝茯苓丸を合わせたようなものになっている。したがって、四物湯で血虚や津液不足を補い、桃核承気湯、桂枝茯苓丸で瘀血を除き、さらに瘀血によって発生した「肝鬱」(かんうつ。肝気の巡りが悪い状態。気分が鬱々しやすくなる)を四逆散で発散するように構成されている。
<四診>
・望診 ーー 体格はよい。皮膚の色は全体にすすけた感じがある。あるいはシミが多い。口唇の色が黒っぽい。舌は乾燥している。白苔ができていることがある。
・腹診 ーー 下腹部や鼠径上部を押さえると痛みがある。これは下腹部の瘀血がある場合によく出る状態の一つである。加えて、胸脇苦満もある場合がある。先に述べた肝鬱のせいであるが、ない場合もある。
<鍼灸証> 「肺虚肝実証」とする。基本は、足の厥陰肝経の「曲泉」(きょくせん。膝の内側、ヒザ裏との境目のくぼみにあるツボ)を瀉法、足の少陰腎経の「復溜」(ふくりゅう。内くるぶしとアキレス腱の間、少し上のくぼみにあるツボ)を補う。
腹部は、関元や大巨(だいこ)に灸頭鍼(きゅうとうしん。鍼の先にもぐさを付けて火をつける。遠赤外線効果で温かく気持ちよい)または透熱灸、背部は腎兪か八髎穴(はちりょうけつ。仙骨上にあるツボ)のいずれかの硬結(硬い部分)に灸頭鍼。 この腹部の透熱灸や灸頭鍼は瘀血、血流の改善を目的としたものであり、結果として生理不順や不妊症の改善につながる。
<最後に> 不妊症は近年悩まれる方が多くなっています。正直、「これをやったら妊娠できる!」という簡単なものではありません。ですが確実に言えることは、①食生活の改善、②生活習慣の見直し、をキチンとすることで確実に妊娠の確率は上がります。
また当院では不妊治療も専門にやっていますが、人によっては漢方や鍼灸で比較的短期間で妊娠される方もいらっしゃいます。
よくあるのが、高プロラクチン血症、多のう胞性卵巣症候群(PCOS)ですが、治療経験からすると、東洋医学的に体を整えていけばちゃんと妊娠できています。
不妊症治療は「これだけの期間やったら妊娠できる」という目安がない、というか、まさにケースバイケースでその方その方で違うので一概には言えませんが、上記の二つ、加えて漢方や鍼灸は身体のバランスを整え、妊娠しやすい身体づくりのお手伝いはできます。

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