二千年も前に書かれた、東洋医学の古典「黄帝内経(こうていだいけい)」には、心臓病に関する多くの記述が見られます。この本にはその治療法も書かれており、古代から正確な知識があったことに驚かされます。と同時に、昔から心臓病は人間の健康を脅かしてきた、ということもわかります。

東洋医学(中医学)では、心臓病に対して「活血化オ」という治療のやり方が多く用いられます。「活血化オ」という治療法則は、「オ血」という身体にある血液の鬱滞の状態を取り除いて、血行障害を改善させようとする、中医学独自の考え方によるものです。

「オ血」という概念を簡単に想像するならば、捻挫や打ち身のあとの青あざ(こちらの方言では「あおじ」ですネにひひ)を思い浮かべてください。この青あざになった状態が、「オ血」の一種と言えます。ただ体内の「オ血」は、単純に打ち身などで起こるものは少なく、例えば女性の生理痛などもこの「オ血」で起こる場合が多いですし、男性でも「オ血」による冷えやイライラなどもありますから、一概にはそのイメージだけだと違う面もあります。いずれにしても、「オ血」は血液の流れの滞り、であることは間違いありません。

この「オ血」がある方の自覚症状としては、顔色がどす黒い、唇や舌が紫色、便秘や黒い便、生理痛や無月経、皮膚にツヤがない・カサカサ、下腹部痛、はたまた随伴症状として頭痛、肩こり、不眠、冷えのぼせなど多彩な症状が現れたりします。
この辺の診断は、東洋医学の専門家が問診や、腹診、脈診などで総合的に判断して、「オ血」があることが間違いないとなれば、そのような漢方薬や、鍼灸であれば経絡・経穴を使って治療することになります。
具体的には、漢方薬であれば桂枝茯苓丸や桃核承気湯といった処方を、鍼灸であれば厥陰肝経の曲泉や行間(コウカン)といったツボを使ったりします。

一般的に、女性は生理がある関係上、男性より「オ血」はできやすいです。心臓病ほど深刻でなくても、このオ血が絡んでいる病気は多いので、上の自覚症状に当てはまるような方は気軽に漢方薬局や鍼灸院にご相談くださいねパー