ASFという名のヤバいやつ
今年になって、海を挟んだ朝鮮半島で続発しているASF。これはもう日本に来るのも時間の問題なのかもしれません。
正確には以前から空港の手荷物検査等で中国から持ち込まれた肉製品からDNAが検出されており、本当にギリッギリのところで食い止められている訳なのですが。
もしこれが一度日本に持ち込まれて拡がれば日本のスーパーから豚肉が確実に消える。日本は数年間牛肉と鶏肉と魚を食べることになる。良くても外国産豚肉があるかな程度。その位の衝撃が走ることになります。当然、僕らのような狩猟者の捕獲するイノシシなんかももしかしたら感染しているかもしれないので捕獲自粛要請が出るやもしれません。
ASFとはAfrican Swine Fever、日本語ではアフリカ豚熱という病気です。人間に例えるならばエボラ出血熱ザイール株(致死率88%)が大流行するようなもので、豚におけるASFの致死率は99%とも言われています。人間には感染しません。感染した豚は末端や内臓の出血が見られ、粘血便やチアノーゼの症状も現れ、やがて死に至ります。
ちなみに、アフリカに居るイボイノシシはこのウイルスに抗体を持つそうで感染しても無症状となるそうです。強い!
CFSでさえ壊滅的なのに
豚コレラから豚熱と名前を変えましたClassical Swine FeverことCFSも、同じような経路で日本に持ち込まれ、残飯に残ったCFSウイルスが野生イノシシに食べられ、養豚場付近を彷徨き養豚場のエサを食べに来るうちに養豚場に持ち込まれ、野生イノシシが豚のエサを求めて養豚場に近づくことにより感染、再拡散されていったという経緯を持ちます。
CFSは野山にイノシシが居なくなったと言われるまでの深刻なダメージを与え、鳥インフルエンザ同様に摘発淘汰が家畜伝染病予防法で定められていることから、一度流行すれば市場に流通する豚の量が相当減ることになります。ASFでも同様の事態が起こると思われます。悪いことにCFSのような経口投与ワクチンもASFには存在せず、予めワクチンによる抗体付与も出来ません。感染しうる限りの動物が地域から全滅してウイルスが感染能を失って初めて環境から脅威がなくなります。
正直、CFSの国内でのここまでの流行はCFS清浄国という名誉を保持していたい国の方針決定により野生イノシシへの経口ワクチン投与が遅れたことにも一端があると思っています。同じ轍を踏まなければ良いと思いますが…
旅行者の持ち込みをどうにかせにゃ
とにかく国内に外国から持ち込まれる肉製品を完全にシャットアウトする必要がありますよね。
内緒でコソッと、とかバレなきゃセーフとか、全部食べれば大丈夫とか、そういった軽い気持ちから持ち込んだ肉製品。その包装に付いていたウイルスはどうなるんですかね?美味しくなくて食べ残して棄てた一部分に着いていたウイルスはどうなんですかね?
そういった残飯は巡りめぐって触れた残飯を汚染し、残飯をエサにしている豚の元に届くやもしれません。
そのこっそり持ち込んだ一本の美味しくないソーセージが日本のイノシシと豚を全滅させるかもしれません。それこそ口蹄疫により宮崎の宝であった安平という種牛が殺処分となったように、日本の優秀な種豚にも被害があることでしょう。
そんな遠くない未来の事になりそうな予感がして仕方ないです。