「ねぇ…留美。本当に行くの?」
今は、まだ教室。
平助には先に帰ってもらい、クラスにいるのは、あたしと留美だけ。
沖田先輩だって学校にいるわけだから、今コンビニに行ったところで仕事はしてないだろうから、と留美と話してることになったのだ。
「当たり前。行くに決まってんでしょ」
「ど…どうして、そこまで沖田先輩にこだわるのよ…」
「莉心は女の自覚がなさすぎなのよ。スカート穿いてんのに足は開く」
ハッ!!として足を閉じた。
「言葉遣いは悪い」
それは留美だってそうじゃん…心の中でつぶやいた。
「だからどんな女もメロメロになっちゃうくらい素敵な沖田先輩見て、あんたも恋しなさいって意味で見に行くのよ」
そしたら莉心も女っぽくなるでしょ、と。
「ど…どんだけ格好良いか知らないけど、一目惚れとかマジありえないから」
「そんなこと言ってられるのも今のうちだけよ」
ビシッと留美に言われた。
一目惚れなんて、有り得ない。
「そ…そういう留美は、平助とどうなのよ」
「どうって、どうもないわよ」
「告白…しないの?」
初めて聞いてみた。
何となく聞いちゃいけないような気がしてたから。
「好きな人…」
「え?」
留美の声が急に小さくなって思わず聞き返した。
「平助…好きな人、いるから…」
「えっ、そうなのっ!?あたし聞いてないよ!!誰っ!?」
思わず身を乗り出すと
「そのうち分かるよ」
留美は、それ以上何も教えてはくれなかった。
つづく…。