多様性って ─『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

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「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 昨日の予告通り、今日は『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ)を紹介します。 

 

 この本は、ブレイディさんとアイルランド人のパートナーとの間に生まれた息子さんの、英国の中学で得た様々な経験を綴ったノンフィクションです。「多様性とは何か」ということについて考えさせられます。本の帯に「一生モノの課題図書」とある通り、考えさせられる言葉とも、たくさん出会いました。

 

 例えば、「エンパシー(共感)とは何か」と問われた息子は、こう答えます。

「自分で誰かの靴を履いてみること」

 

 また、こんな言葉も。

「『ハーフ』とか『ダブル』とか、半分にしたり2倍にしたりしたら、どちらにしてもみんなと違うものになってしまうでしょ。みんな同じ『1』でいいんじゃない」

 

「多様性ってやつは物事をややこしくするし、喧嘩や衝突が絶えないし、そりゃないほうが楽よ」

「楽じゃないものが、どうしていいの?」

「楽ばっかりしていると、無知になるから」

 

「無理やりどれか一つを選べという風潮が、ここ数年、なんだか強くなっていますが、それは物事を悪くしているとしか僕には思えません」

 

 

 さて、ブレイディさんは、新聞の取材で、こう言っています。

 

 「実はアイデンティティーは一つじゃない。いくつかの組み合わせで一人一人のユニークな「自分」ができている。その個人が尊重されること、これが多様性なんだと思います。」

   (朝日新聞(2020.1.1)より) 

 

 自分は、たった一つではなく、様々な自分が合わさってできている。

   職場での自分

   家庭での自分

   仲間と飲んでいるときの自分

   恋人とデートしているときの自分

 

 どれも本当の自分です。

 そんないろんな自分があっていいということ。そして、周りの人にだっていろいろな側面があるんだということ。 

 これを分かりやすく教えてくれたのが、結城志歩さんのブログでした。


 ここに紹介されている平野啓一郎さんの『私とは何か 「個人」から「分人」へ』も、ぜひ読んでみたい本です。