変わらない姿、変わらない気持ち ─『「作家」と「魔女」の集まっちゃった思い出』(角野栄子)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 人が何かを願うとき、申し合わせたわけでもないのに、それはおなじ姿を持ち、繋がっていく。不思議だけど、うれしい気がする。

 (角野栄子、『「作家」と「魔女」の集まっちゃった思い出』より)

 

 角野さんの子どもの頃の話。

 お父さんに、怖い話の続きをしてもらいたいのに、お客さんがなかなか帰ってくれない。そんな時に、お姉さんが教えてくれました。

「あのね、ほうきをね、逆さまにして、手ぬぐいをかけて立てとくと、お客さんが早く帰るって」

 

 数十年後、魔女のことに興味をもち、調べるうちに、角野さんは、魔女のほうきの秘密を知ります。

 魔女は、森から薬を取り出し、ほうきにまたがって人助けに飛び回るようになった。つまり、ほうきは、災いを払うものだった、と。

 

 時を超えて、時代も超えて、人の願いは同じ姿をもちます。

 そして、この話からは、時代がどれだけ進もうとも、変わらない気持ちも見えてきます。

 それは、家族と一緒に、元気で過ごしたいという気持ち。