しずむ夕陽に身をまかせ─『本所おけら長屋(十三)』(畠山健二)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

「夕陽ってえのは、どうして赤いか知ってるかい。お天道様が、今日あった辛えことや悲しいことを、燃やしてくれてんだってよ。だから明日になりゃ、そんなことは忘れて頑張れるってことらしいや・・・

・・・だけどよ、あんなに広え空が真っ赤になるんだからよ、世の中にゃ、辛えことや悲しいことが、たくさんあるんだろうなあ」

(畠山健二、『本所おけら長屋』より)

 

星の王子さまも、悲しいときは入り日をながめていました。

いろいろな人の辛いことや悲しいことに思いを馳せながら、夕陽の中に身をまかせてみたくなりました。