自分たちの振るまいが、天に恥じないことならば ─『本所おけら長屋』(畠山健二)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 いつもなんだかんだと騒動の起こる「おけら長屋」。でも、そこに住む人々は、貧乏で、お節介で、人情に厚い江戸っ子気質の人ばかりです。

 困っている人がいたら、放っておけず、後先考えずに行動する万造と松吉。そんな二人を見て、浪人・島田鉄斎は言います。

 

「これから起こることは、そのときに考えればよい。自分たちの振る舞いが、天に恥じないことならば、なんとかなるはずです。」

 (畠山健二、『本所おけら長屋』より)

 

 『本所おけら長屋』。時代は変わっても、大切にしたい「粋でいなせ」な生き方を、笑いと人情と共に届けてくれる連作時代小説です。