無心だった、あの頃の自分に ─『イチロー 果てしなき夢』(義田貴士)─ | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

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「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 イチロー選手にもスランプはありました。バッティング・フォームをチェックし、よりよい状態を探っていく、そんな試行錯誤を経て到達したのは、「子どもの頃の自分」でした。

 

 写真に写っていたのはなんと、まだあどけない表情でピッチャーを見すえている一朗少年の姿だったのだ。イチロー選手がたどりついたのは、純粋に、ただ夢中でバットを振っていたころの自分自身のバッティング、一朗少年のバッティング・フォームだったのだ。

 

 「小学生の時のバッティング・フォームがベストっていうのは、変な雑念がなくて、まだ頭でっかちになってないし、ただ、純粋に来たボールを打っていたわけでしょ。それが大人になるにつれてどんどんいろいろ考えてしまうようになる…」

 (義田貴士、『イチロー 果てしなき夢 少年の想い遥かに』より)

 

 

 何をやってもうまくいきそうにないとき、子どものころの思い出や、お正月に立てた新しい誓いなど、拠り所はたくさんありそうです。あの頃の気持ちを思い出して、あの頃の自分に恥じないようにがんばらなければ。