春、13歳の魔女キキは、知らない町へと旅立ちます。期待に胸ふくらませていたキキですが、忙しそうに歩く町の人を見て、理由もなくおびえます。町の何もかもが知らんぷりした顔で動いているように見えてなじめません。
ちょうど1年前の朝日新聞の「天声人語」に、『魔女の宅急便』のキキを取り上げた一節がありました。
「こんなことじゃいけない。何かあたしにできるものを見つけなくちゃ」。キキの焦りは、痛々しくもまぶしくもある。
就職や進学で新天地に赴く。必要なのは、小さな魔法の力かもしれない。怖がらずに話しかけられる魔法。寂しいときにもめげない魔法。一人の時間を大切にできる魔法……。新生活の助けになってくれれば。
読んでいてキキの両親に目が行くのは我が年齢のせいか。厳しく励ます母親、「うまくいかなかったら帰ってきてもいいんだよ」という父親。日本のあちこちにキキとその親たちがいる。4月がまた巡ってきた。
(2018.4.1、朝日新聞「天声人語」から)
4月です。自分に小さな魔法をかけて、キキのように一歩踏み出してみませんか。
一生懸命頑張るあなたを応援している人は、きっといます。