小児がんで苦しむケイコちゃん。もうノートを押さえる力もないのに、病室のベッドの上で宿題を仕上げようとするがんばり屋の女の子です。
いつかすてきな花嫁さんになるという願いをもっていたケイコちゃんでしたが、その思いはかなわず、6歳で亡くなってしまいます。お棺の中で、白いウェディングドレスを着て、ケイコちゃんは天国へ旅立っていきました。
ケイコちゃんのお父さん、鈴木中人さんが自らの思いを綴った絵本です。
本文におとらず心に残ったのは、この本の後書きでした。
ケイコちゃんを亡くした後、鈴木さんは、子どもたちに命の大切さを伝える「いのちの授業」を始めました。
ある小学校でケイコちゃんの話を語った時、突然泣き出し、涙がとまらなくなった男の子がいたそうです。その子は、6年生だけれど、ほとんど漢字を書けない子。そして、無口なので何を考えているのか心配されるような子でした。
後日、鈴木さんのところに、その子の感想文が届きました。平仮名ばかりの感想文です。
「おやこうこうしようとおもっても ぼくは なんのとりえもありません。かあさんととうさんに いつもめいわくをかけています。なにかないかとかんがえてみたら かあさんととうさんよりも はやくしなないにしました。だから ぼくはがんばっていきていこうとおもいました」
今週は、小学校で終業式が行われ、お子さんが通知表を持ち帰ってくるころでしょう。でも、数字や◎の数ではなく、この感想文のように、その子が心の中に持っているいいところやがんばりがちゃんとあるはずです。