「とうたすかかか」。スマートフォンに残されたメールの平仮名7文字は、助けを求める最後のSOSだったのか。公立福生病院で明るみに出た「死」の選択肢の提示。亡くなった腎臓病患者の女性の夫が毎日新聞の取材に胸中を明かした。
(平成31年3月7日、毎日新聞より)
亡くなった女性は、病院から透析治療をやめる意思確認書を提示されました。
「透析に疲れちゃったのかな…」。女性は一旦それを承諾。ただ、途中で「透析中止を撤回したい」と生きる意思を示しましたが、もう受け入れてくれませんでした。
「とうたすかかか」のメールが送られたとき、ストレスからか夫は体調を崩し、手術の麻酔から覚めていませんでした。そして、目が覚めてこの7文字に気付いた時には、女性は既に冷たくなっていたのでした。
「とう」は「父ちゃん」の愛称。おそらく女性は、死の間際に「父ちゃん、助けて」と打とうとしたのでしょう。
死を目の前にして、愛する人を思い、言葉にこめる尊さ。その懸命の気持ちが分かるからこそ、一層痛ましい夫の心中が想像できます。
女性のご冥福と、「父ちゃん」が少しでも早く一歩を踏み出すことを祈っています。