第32回東洋大学「現代学生百人一首」から。
伝えたい言葉はいつもスタンプでどこかに消えた私の言葉 (高1 㓛刀菜柚さん)
ケータイをもつまえ交わした文通の貴方の書いた字愛しく思う (高1 森川千咲さん)
スタンプは、手軽でかわいい。でも、「あなた宛」の本当の心は手書きにした、たどたどしくも代わりのきかない手書きの言葉にしかない。そんな声が聞こえてきそうです。
教室で百人一首を学びつつまだ見ぬ恋を想ふ五月雨 (高2 岡田直子さん)
恋に恋する岡田さんも、いつかは百人一首に描かれた恋に浸るのでしょう。
たとえばこんな恋に。
忍ぶれど 色に出でにけり わが戀(こひ)は
物や思ふと 人の問ふまで
「父は嫌い」友が言うたび思い出す単身赴任の父の笑顔を (中2 藤友実緒さん)
お年頃のわが娘も、友達とは「うちのお父さんなんか・・・」という会話をしているのかもしれません。
でも、時々は、幼いころ一緒に遊んだことや、家でのひとコマを思い出してくれたらいいな。
朝起きるただそれだけではしゃぐ犬私はいつから変わったんだろう (中1 塚田あこさん)
この歌で思いました。
この学生さんたちのような感性を、私はどこに置いてきたんだろう。
いつから変わったんだろう。