2年前、家を新築するときに、「書斎がほしい」といったところ、妻から「いらんやろ。」とつれない返事が。さらに、「今ある本も、この機に処分したら?」と悲しいことを言われました。
それでも、懇願し、説得し、そして騙し、何とか本は捨てずに、9畳の書斎を手に入れました。
息子と娘からは、「お父さんの部屋は広くていいな・・・」(2人の部屋は6畳)。
私以外の3人の家族からの冷ややかな視線に耐えながら、でも、これで、まだしばらくは、置き場を気にせず、本を購入できそうです。
よく、「紙の本は、電子書籍に駆逐されるのか。」と話題になります。
私は、断然、紙派。
でも、「どうして、紙がいいの?」と聞かれると、確かに重いし、場所はとるし、床は抜けるかもしれないし、はっきりとは説明できずにいたのですが、『本は、これから』(池澤夏樹 編)を読みながら、「そうだ、これだ。これだ。」と、とても納得しました。引用します。
人は、かつて読んだ本を大事にする。読むという行為は読み終わった時には完結しているはずだが、その読書体験の象徴として本そのものも手元に残したい。いつかまた読むかもしれないし、などと考えると手放せない。本は人生の里程標となる。(池澤夏樹)
電子化が進むのは、部屋を侵食される恐怖や捨てる躊躇、拾う愉悦に焼き去る罪悪感、そんなものも遠くに追いやることである。(四釜裕子)
増えると所蔵に苦労するから、その悩みが嬉しいのである。コレクターだけが知る喜びである。
電子書籍は置き場所に悩まされない。何千冊でも保管できる、と謳っている。あなたは本の山から解放される、部屋がすっきりしますよ。これが最大の利点というが、本の山をうっとうしく思う人は、もともと本が好きでないご仁だろう。愛書家は本の山だから嬉しいのである。電子書籍を発明した者は、本が好きでない者であって、そういう人が喧伝するものが本好きに歓迎されるわけがない。(出久根達郎)
さて、あなたは、電子書籍派? それとも、紙派?