穂村弘さんの新聞記事から ―言葉がつくる世界― | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 ちーちゃんさんの本日のブログを拝見し、歌人・穂村弘さんの意外な一面を知りました。

 

 これまで、私が抱いていた穂村さん像は─。

 

 穂村さんは、平成29年4月16日の朝日新聞に、本を読むことについて、「あなたの『世界』を変えるかも」という見出しで寄稿しています。

 「読書は趣味の範囲だ。本を読まないことが、なぜ、問題視されるのか。確固たる理由があるなら教えていただきたい」という大学生の投書に対し、穂村さんが答えたものです。

 穂村さんは、映画などで、親から出生の秘密(例えば「実はお前は私がお腹を痛めた子じゃないの」)を告げられた主人公がショックを受けるシーンを例に挙げ、「『それまで信じていた世界が親の言葉によって覆った』ととられがちであるが、覆ったのは世界ではない」と言います。なぜなら、事実を知る前と後とで、血のつながりやDNAに変化があったわけではないから。つまり、物理次元の世界は何一つ変わっていないから。

 そして、記事は次のように続きます。

 

 つまり、親の言葉で覆ったのは世界そのものではなく、主人公の心の中の世界像ということになります。

 ならば、私たちが一つの共通の世界に生きているというのは実は錯覚で、本当は一人一人の内なる世界像を生きているに過ぎないんじゃないか。そして、どうやら言葉はそのことに深く関わっているらしい。

 

 言葉がその人の世界像をつくるというこの文章に、私は深く共感し、感銘を受けたものでした。

 今回、ちーちゃんさんのブログを読み、そこに描かれている穂村さんの一面を見たことで、穂村さんに親近感をいだきました。

 人って、いろいろな顔を見せるから、魅力的なのでしょうね。

 

 ちなみに、私は、穂村さんの、次の短歌が好きです。

 

   体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ

 

 以下、ちーちゃんさんのブログをリブログさせていただきました。