歌で感情や情景を伝える、と言う事に関して、
2年前の昨日、語っていました。
     

たぶん、CD アルバム
 
「Now and back Then」
  
の制作を終えて、発売を控えて思うところあったんだろうな。
     

      
人に伝わる歌ってどんなもの?
どんなふうに歌うべき?
   

      
そういう質問、実は多いんです。
   

それについて、僕はもしかすると他のシンガーとは考え方が違うかもしれない。
僕はステージで歌に「感情を込めて歌う」って事はしない。 
誤解を招きやすい発言かもだけど、感情を表現する歌い方、ってのを徹底的に練習して、
ステージでに僕はあくまでも「人間再生装置」である。
    

   
歌にはもともと感情も情景も乗っているものだから、ステージで、じゃあ、
  
「そこに緑はありますか?」
 
という歌詞を歌うのに、深緑の山々や、林の木漏れ日を思い浮かべ、新鮮で神聖な空気を吸い込んで、
なんてのを思い浮かべて悦って歌う、なんて事は絶対にしないんです。
 
歌は作る時点で、

「そこに緑はありますか?」
 
と言った時に、緑が見えるように作っている。
どうしたら、緑の風景を思い浮かべてもらえる歌い方になるのか、を、考えて、トライして、修正して、
そうやって、一字一句、練習をかさねたものを再生するプレーヤーに専念して、できる限り忠実に再現する事、に徹してる。
   
    
そんな事をかなり本音で書いてた。

       

    

  

今、喘息になって、まあ他にもいろいろあって、
前と同じ歌い方では、2時間のステージが続けられないから、
新たな歌う方を模索し、やっと形になってきたし、それはもしかするとこれから更に年をとっていく僕自身を救うものになるかもしれないと思ってる。
    

    
だから、毎日、すごい練習してるし、正直、以前より上手くなってると思う。
   
練習する中で、やっぱりここで書いた事、同じ事をずっとやってる。

心を込めて歌う

の意味が僕はたぶん、少し違う。

悲しい歌を悲しいと思って歌う事も
愛しているという歌詞を、心から愛していると伝えようとして歌う事も

僕はしないんです。


誤解を恐れずに言えば、
僕は、練習して出来上がった形をただ、ステージではプレーヤーとして再生する事、

それだけに徹してる。

心を込めてない、のではない
形だけを追い求めているのではない、

歌は、それだけで情景も感情ものった完成品だから、
   

  
どう伝えるかを、徹底的に一語一句吟味して、
それを、そのまま伝えられるようにひたすら練習して、
ステージではそれをただ、プレーヤーとして、再生する。

言葉なんだから、メロディなんだから、歌なんだから、
感情なんか、そこで自然に現れるものだ。

言葉の意味を一生懸命伝えようとなんかしない。
     

  
愛してると言う歌詞を、愛してまーす!って思いながら、
悲しいと言う歌詞を、ウワーン悲しいです、って思いながら
   

   
そんなふうに歌う事は絶対にしない。
ただ、ただ、歌を、練習で作り上げたものを、

会場のお客さんのエネルギーももらってその場でミックスして、再生しているだけなんです。

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