大阪桐蔭高校の吹奏楽部:第18回 定期演奏会(最終公演) | 大歩 悠(おおぶ ゆう)ブログ《悠歩路私記》

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主に吹奏楽やマーチングなどの音楽鑑賞、、ミュージカル鑑賞、舞台鑑賞、スポーツ観戦に行った記憶、感想を書き記していくブログ

3月12日は、夕方から大阪市のフェスティバルホールで開催されていた大阪桐蔭高校の吹奏楽部(最終公演)を鑑賞。




パンフレット
表紙の写真がミュージカル『銀河鉄道の夜』を上演している光景という所が好き。

よく見ると、ちょうどカーテンコール『銀河を超えて』を披露している様子。

プログラム
 
今年も有観客での開催で、チケットが発売されてから数日で完売という大人気の大阪桐蔭の吹奏楽部。

会場のフェスティバルホールの3階席まで、ほぼ満席の状態で多くの観客の注目と期待を集めていた。
 

〈Ⅰ部〉は、ステージマーチングのように動きながら演奏を披露していく形態のステージ。

1曲目は、大阪桐蔭の吹奏楽部が去年にポケモンの宣伝映像のBGMでとして演奏していた事で脚光を浴びていた吹奏楽の人気曲『アルヴァマー序曲』を披露。

華々しいトランペットやホルンの響きも印象深い序盤の軽快な流れと共に、後方のスクリーンでポケモンのオープニングタイトル風の文字が示されて何か上映が始まっていく流れが、おもしろい。

ここから次々に映し出されていくのがポケモンでは無く、いろいろな動物。まるで動物のドキュメンタリー番組を見ているような気分になる。

やがて、ゆったりとした流れになると暖かみがあるトランペットの響き。

そしてスクリーンでは、昨今の人類の争い事に憂いを示して平穏を願うようなメッセージが示されていく。

ここの流れが、穏やかな響きの演奏に乗せて心を打たれる感動的な表現だった。

再び演奏に勢いが出てくるとスクリーンでは、広大な地球上の中で小さな存在の人類が争いを繰り返してきた歴史から大自然に目を向けると、ハツラツと動物などの生命の営みが繰り返されています、というような活気を伝えるメッセージや映像が示されていく。

軽快な盛り上がりと共に動物ドキュメンタリー番組もクライマックスを迎えたようで、力強さと爽やかさがあった締め。

『アルヴァマー序曲』を題材にポケモン風から地球全体にまで視野を広げて、壮大で優しさもあったパフォーマンスや広がりを感じる軽快な演奏によって、これから楽しい時間が始まっていく定期演奏会の開演を飾る清々しいオープニング曲だった。

一気に1曲目から観客を引き込んでいって魅了していく、さすが大阪桐蔭の吹奏楽部。


ここから休む間も無く続いて始まったのが、去年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』のテーマ曲。

スクリーンでは、『こちらも地球上での人類の歴史で今度は日本の昔話です』というような『アルヴァマー序曲』から関連性を感じさせるメッセージと共に、大河ドラマのオープニング風の映像が上映されていく。

ゆったりとしたアルトサックスの聞かせ所で始まって全体に重厚な演奏が広がると、力強い打楽器の響きを経てステージマーチング風に前進してきたトロンボーンパートが勇ましい演奏を響かせるという流れが、かっこいい。

勇壮な雰囲気の軽快な流れで演奏が進んでいくと終盤は、この時代の栄枯盛衰を示すように哀愁を感じさせるような繊細な流れで、きれいにフルートも響いていた。

『アルヴァマー序曲』が動物ドキュメンタリー番組風で『鎌倉殿の13人』のテーマ曲は、スクリーンの映像の効果も大きくNHK大河ドラマのオープニングを見聞きしているような、こちらも見事な演奏とパフォーマンスだった。


続いて再び休む間も無く始まったのが大阪桐蔭の吹奏楽部の去年の吹奏楽コンクールでの自由曲『宇宙の音楽』で、序盤のホルンの聞かせ所も見事。

スクリーンの映像を見ていると、人類の歴史を『成』、『住』、『壊』、『空』の四字で示すという漢文のような哲学的のような映像が示されて興味深かった。

多彩な演出やパフォーマンスに目を奪われながらも吹奏楽部なので当然、演奏技術も磨き上げられていて重厚な響きや繊細な表現の聞かせ所の演奏も聞き応えがあって見事。

中盤になると大阪桐蔭の吹奏楽部で定番と言っていいようなダンサー隊が登場して、演奏に合わせて優雅な動きで華を添えるダンス。

終盤に再び『成』、『住』、『壊』、『空』の四字が示されたり何か天体のエネルギッシュな映像が上映されると共に演奏も情熱的な雰囲気で大きく発展していき、まさに壮大な雰囲気で宇宙のロマンを感じさせる名演。

開演してから3曲を連続で演奏して大阪桐蔭の吹奏楽部の良さを、さっそく存分に示していた流れだった。

スクリーンで上映されていた映像も3曲それぞれ見応えがあって、製作した部員たちの傑作と言える力作。

『成』、『住』、『壊』、『空』の四字で『宇宙の音楽』から人類の歴史をイメージしていた東洋的な表現も、すごかった。あれは、よく考えたね!


続いてミュージカル鑑賞が好きな者として特に注目していたミュージカルの上演で、まず最初に『ラ・マンチャの男』を披露。

今まで色々なミュージカルを鑑賞してきて、この演目を鑑賞した事が無かったので大阪桐蔭の吹奏楽部によって鑑賞できる事を楽しみにしていた。

初見なので後方のスクリーンでタイトルが示されてから『ラ・マンチャの男』の作品についてや世界観の解説が上映されていくのは、ありがたい演出。

最初にドン・キホーテ役の部員さんが西洋の鎧を着用して登場してきた時は、見事に本格的な作りに驚きつつ思わず笑った。

そして、その雰囲気に合った姿でドン・キホーテになりきって見事な歌唱や演技を披露するなど、さすがの主役だった。

サンチョ・パンサ役の部員さんも、伸びがある歌声でドン・キホーテに付いていくという思いを歌い上げていた歌唱が心に響いて素晴らしかった。

アルドンザ(ドルネシア)を演じる部員さんも、ステージ上で華を添える演技。

そしてステージ上で強烈な存在感だったのが、馬の顔の面を着用した馬役の部員さん。

軽やかな動きでも見事に存在感があり最初に見た時は、笑ってしまった。

馬役の部員さんが面を着用して引っ張っていた台車に乗るようにして、ドン・キホーテやサンチョ・パンサが乗馬をする光景が表現されていた。

その周囲では、多数の部員たちがステージマーチングのように活発な展開を繰り広げたり軽やかに動いたりしながら演奏して、壮大な盛り上げ。

ステージの前の真下にあるオーケストラピットでも、部員たちが演奏してストーリー進行を支えていた。

スペイン風のラテンの響きで『ラ・マンチャの男』の様々な名曲を演奏や歌唱も魅力的。

騎士になりきっているドン・キホーテが戦う場面もあり、勇ましい雰囲気。

中盤まで楽しく見ていてスクリーンを見て終盤のストーリーを知り、たくさんの部員たちで名曲『見果てぬ夢』を歌い上げていた光景は、大きく響いてくるものがあって心を打たれ感動。

いつか鑑賞してみたいと思っていたミュージカルの名作『ラ・マンチャの男』を、大阪桐蔭の吹奏楽部によって鑑賞できて良かった。


続いてミュージカル『WEST SIDE STORY』を上演。

後方のスクリーンでは、作品の解説やアメリカの風景を上映していく演出。

ステージ上では、演技を担当する部員たちが対立するアメリカの若者のグループが向かい合って喧嘩をするような光景を示すパフォーマンス。

公式YouTubeのショート動画で、大阪桐蔭の吹奏楽部でミュージカルをしたくて神奈川県から進学してきた事をアピールしていた部員さんがアニタ役を演じて軽やかに、そして優雅な動きでダンスを披露していて素晴らしかった。

同じくショート動画でアピールしていた、マリア役の真っ白な衣裳や青い衣裳のWキャストの二人の部員さんも、それぞれ見事に役柄を演じていた。

劇中歌の名曲『マンボ』、『マリア』や『America』、『Tonight』などの演奏、歌や演技やパフォーマンスの見せ場や聞かせ所も魅力的で楽しい盛り上げだった。

華やかな序盤や中盤と対照的に明るくない切なさがある終り方をするのが、この作品。

その流れも部員たちが、しっかり演技して表現していた。


これで〈Ⅰ部〉が終了すると休憩明けの〈Ⅱ部〉には、再びミュージカルを上演。今度は『マイ・フェア・レディ』

こちらも初見のミュージカルで、言語学者のヒギンズ教授がイライザに話し方を教えてレディーに育て上げていく事を目指していくストーリー。

公式YouTubeでアピールしていた3人の部員たちがイライザ役になり、ほのぼのと演技したり見事に歌い上げていた。

競馬場に来た場面では、再び馬役の部員たちが登場。今度は、レースに出走という事で多数の馬役の部員たちの姿。

ファンファーレの演奏が響くと、その場でバタバタと激しく動いてレースで走っている光景を表していて強烈なインパクトで、おもしろかった。

舞踏会の場面では、後方のスクリーンでダンスをする貴族の男女がCGで描かれて上映されていく。

表情やダンスの動きまで見事に鮮明に描かれていて、すごい力作。

『マイ・フェア・レディ』も、歌や演技と衣裳も華やかで鑑賞していて楽しいミュージカルだった。

高揚感がある盛り上がりの流れで最後に、登場人物を演じていた部員たちが次々に前に出て来て何かアピールしていくカーテンコールも、やりきった充実感が伝わってくるようで良かった。

〈Ⅰ部〉から〈Ⅱ部〉の最初までミュージカル3本を上演という濃い時間。すごかった。 

ミュージカルの時に、オーボエパートの部員さんがステージ上で左右から向かい合って吹いていた聞かせ所が好きでストーリー進行を彩っていた素晴らしい響きだった。

フルートパートの部員たちの演奏も、きれいに響いていた。


『甲子園応援コーナー』では、最初に『TOINファンファーレ』を演奏して勇壮な始まり。

続いて『サーカス・ビー』を演奏していくと後方のスクリーンで野球部の卒業生からメッセージという事で、横浜DeNAベイスターズに入団している松尾汐恩 選手の映像。

吹奏楽部の応援が力になった事や、定期演奏会に向けて激励のコメント。

今年の春のセンバツ高校野球に出場が決まっているという祝福ムードで、『You are スラッガー』と『ウィリアム・テル序曲』の2曲の披露もあり、テクニカルなトランペットの響きも見事で心熱い演奏だった。

野球応援の時に吹かないオーボエの部員さんは、軽やかに動いて盛り上げていた。


定番のリクエストコーナーは、パンフレットに入っていたリストの中から観客が聞きたい曲を選んでQRコードから、スマホで投票するという形式で実施。

観客の投票結果から披露されたのは、まず『新時代』

力強く軽快な響きと共に部員たちが素早く勇ましい動きも見せていて、迫力があった演奏。

続いて披露されたのが『君の名は。メドレー』

この2曲が観客に人気があったらしい。久しぶりに聞いても色あせず、聞かせ所も盛り上げも魅力的なメドレーだった。


大阪桐蔭の吹奏楽部の創部からの歴史を映像で紹介していくコーナー《18年間の歩み》では、ゆずメドレーを披露。

『ヒカレ』で爽やかに始まり、軽快な『夏色』での盛り上がりでパーカッションの部員たちが楽しそう。

『雨のち晴レルヤ』では、クラリネットの聞かせ所の響きで雰囲気作り。

『栄光の架橋』では、演奏の途中から合唱が始まると男女の歌い分けもあって清々しい雰囲気で感動的だった。


今年の《卒業生を送る歌》では、『時を越えて』という曲を披露。

こちらは、部員たちの合唱が爽やかな中で後方のスクリーンでは、卒業生が1年生の時の写真と3年生になってから何かアピールしている動画が並べられた映像が上映されていて感動と、ほのぼのが同時進行となっていく演目となっていた。

ピアノを弾くのが上手なパーカッションの部員さんは、3年生になった時の動画でピアノを弾いて爽やかにアピールしていて、かっこよかった◎


部長さんが卒業生を代表して挨拶。

いろいろ大変な事が多かった中で「コロナ禍だったから、たくさんの挑戦をできた事を誇りに思います」と力強い言葉で颯爽と振り返り、お世話になった方々への感謝の思いを語って堂々と部長の大役を終えていた、かっこいい姿だった。

総監督の梅田先生は、、卒業生が中学生の時にコロナ禍でも大阪桐蔭を選んで来てくれて活動制限が多かった中で頑張ってきた事を讃えていた。


『卒業写真』の演奏では、パーカッションの部員さんがピアノを弾いて心を打つ魅力的な鍵盤の響きによる聞かせ所で主役になり、かっこいい。

序盤の爽やかな雰囲気から発展して力強さがある演奏となっていき、今まさに卒部していく卒業生の部員たちの背中を押していく名演だった。
 

終盤の定番曲『銀河鉄道999』の演奏の時には、なんと無料で配布されていた特製のサイリウムを観客がサビの所で振ってステージ上の部員たちと、一体となっていく光の演出。

色を選べて自分が選んだのは、この水色系。
大阪桐蔭の吹奏楽部のロゴ入りで、貴重な記念品。

今まで何回も大阪桐蔭の吹奏楽部の演奏会に来ていながら実は、『銀河鉄道999』の時にサイリウムを振るのが初めてだったので新鮮な感覚で楽しかった。

『銀河鉄道999』は、先月に亡くなられた原作者の松本零士さんが、自分が住んでいる北九州市に縁があるという事でも思い入れがあって、大阪桐蔭の吹奏楽部の中で特に好きな演奏曲で今年の定期演奏会では、感動が大きかった。

いろいろな楽器パートの響きの聞かせ所や動きによる見せ場など定番曲で存分に盛り上げて、ついに最後の1曲へ。

締めの定番曲は『星に願いを』

いつもは、穏やかな気分で聞き入っているけど定期演奏会の時は、これで卒業生の演奏を聞けるのが最後と思うと心揺らぐものがあり大きな感動がある響きとなって聞こえていた。

卒業生、2年生や1年生の後輩たちが見事に全力でやりきって終演。


今年の定期演奏会は、演奏と共に歌や演技による驚異の表現力のミュージカル3本を上演という事で改めて『大阪桐蔭といえばミュージカル』を、強く印象付けた公演で魅力的な今年度の活動の集大成だった。

ミュージカル好きとしては、楽しさと感動に満ちて充実したプログラム。

これだけ見事な表現のミュージカルを3本も上演という事で、まさに部員たちの懸命な努力の結集。頑張りましたね!


注目のフルートパートのフルートやピッコロ、オーボエパートの部員さんの、きれいな響きも素晴らしかった。

ピッコロの部員さんが〈Ⅰ部〉のステージマーチングでの演奏の時に楽しそうで、ほのぼの。


ピアノを弾くのが上手なパーカッションの部員さんのミュージカル、いろいろな演奏での活躍も印象深く魅力的な鍵盤の響き。

自分の席が前から6列目くらいでステージに向かって右端に近い位置だったので、目の前で弾いている勇姿がよく見えて素晴らしいピアノ演奏だった。


ステージの両サイドに分かれて低音を響かせていたチューバ、コントラバスの部員たちの演奏も、かっこよかった。

自分が座っていた席からだとファゴットも、よく響いて聞こえていて印象深かった。


大阪桐蔭の吹奏楽部の皆さん。

今年も演奏、歌、演技、演出など多彩な表現で存分に魅了してくれた定期演奏会を開催ありがとうございました、お疲れ様でした!