自分のオフィスを

イベントしたい人に

貸している人のお話です。

 

この人のことを

ここではオーナーさんと

呼ぶことにします。

 

個人的にやっており、

知り合って仲良くなった人に

好意で貸しています。

 

その分、

イベント参加者に

自分のオフィスやビジネスについて

紹介できるので、

自分の仕事の機会ともなります。

 

そうして利用する人の中に

約束の時間より早くきて

「ごめんね」と謝り続ける人がいました。

 

この人を、ここではAさんとします。

 

 

 

通常は、

例えば18:00から貸す約束をして、

18:30からイベント開始する、

といった感じです。

 

終わったらお茶して解散、

みたいに楽しい時間になることが

ほとんどです。

 

しかしAさんは

約束が18:00だとしても

17:00に来ます。

 

それは事前に

「1時間早く行ってもよいかしら?」

みたいに相談されることはなく

いつも突然に来ます。

 

オーナーさんは昼間はオフィスで

仕事をしていますから、

17:00でもそこにいるので

オフィスとしては開いています。

 

まだ仕事をしているのに

そこに約束より1時間も早く

Aさんが来るのです。

 

Aさんは

「ごめんね、早かった?」と

最初に訊いてきます。

 

約束が18時ですから

早いに決まっています。

 

そんなわかりきったことでも

Aさんは訊いてきます。

 

オーナーさんは

そう言われて入れないわけにいかないと

「え?あ、はい。まあ、入って」

みたいに許可します。

 

Aさんは

最初からそれがわかっていたかのように

「ごめんね、どうしても早く準備したくて」

とか

「ごめんね、早く来て迷惑だよね。

でも、今日、頑張るから」

とか言いながら準備を始めます。

 

その後も何度も何度も

「ごめんね、ごめんね」と

謝ってきます。

 

オーナーさんはすでに

許可したので、それ以上の謝罪は

欲しいと思っていないのに、

さらに謝罪されてしまいます。

 

オーナーさんは18時近くまで

仕事をしようと思っていたけど

Aさんが来てからは仕事にならず、

結局Aさんのお世話をするような状況に。

 

お世話をするたびに

Aさんはまた「ごめんね」と言ってきます。

 

そうして何十回も「ごめんね」を言われて

その日のイベントが終わると

オーナーさんは、ぐったりです。

 

 

 

その後オーナーさんは、

先日Aさんが早くきたのは

たまたまだったと思っていました。

 

しかし次の回も

Aさんは事前に何の断りもなく

約束の時刻より1時間も早く来ました。

 

しかも「手伝ってくれる人」と称して

仲間2人を引き連れて。

 

オーナーさんは

「え?!また!?!?」と

びっくり仰天です。

 

でも入れないわけにはいかず

中に招じ入れる手振りをしながら

「う~ん、

約束の時刻に来てほしいのだけど...」

とAさんに声をかけますが、

「ごめんね~、もちろんそうなんだけど...

買い物が早く終わっちゃって

他に行くところがなくて、

オーナーさんなら許してくれると思って」

と返ってきます。

 

それにオーナーさんは

「まあ、いいですけど、

次からはお願いしますね」と応じると

Aさんは「はい!わかりました!」と

よい返事。

 

そのよい返事を聞いて

次からは大丈夫になると

オーナーさん安心したそうです。

 

その日は3人で来たので

その3人の会話がうるさすぎて

イベント開始までやろうとしていた仕事も

できませんでした。

 

これも今回だけの我慢と思うと

なんとか耐えられました。

 

 

 

しかしその次の回も

Aさんは1時間早く来ました。

 

オーナーさんは玄関先で

「もう、早く来るなら相談くらい

して欲しいです」と

普段より厳しい口調でAさんに言いました。

 

Aさんは

「そうなんです。

ほんとオーナーさんの言う通りです。

ごめんね、全部私が悪いです」と

謝りました。

 

それを見たオーナーさんは

「まあ...わかってくれれば...」と

それ以上言えなくなってしまって

「次からはお願いしますね」だけ言って

その日は早く来ることについて

それ以上は言いませんでした。

 

しかし、その後もAさんは、

約束の時刻よりだいたい1時間は

早く来ます。

 

「ごめんね」と口では言っていても

早く来ることを

やめるつもりはないようです。

 

オーナーさんは自分の心が

だんだん荒んでくるのを感じ、

この状況をどうにかしたくて

私のところに相談に来られました。

 

 

 

オーナーさんにこの話を聞いて

最初に伝えたのが、

「オーナーさんは、

Aさんが無断で1時間早く来たら、

まだ約束の時刻ではないので今は無理です。

約束の時刻になってからまた来てください、

とAさんに伝えられますよ?」でした。

 

なぜかオーナーさんは

目を丸くして、驚いています。

 

「...言って、そんなことを言っても

良いのですか?」

 

私は良いと思いますけど、

オーナーさんにとって

良いかどうかを決めるのは

オーナーさん自身です。

 

今、試しに言ってみますか?

 

「試しに?」

 

はい、今、私をAさんだと思って

言ってみてください。

 

そうして

何度も躊躇した後に、

オーナーさんは言ってみました。

 

今どんな感じですか?

 

「...は、はい。

何も問題ないと、感じます...」

 

その後に

Aさんにそれを言ったら

どんな返事が返ってくるかを

一緒に確認した上で、

次に1時間早く来たらちゃんと言う準備を

ととのえました。

 

とくにオーナーさんが重要と感じたのが

「自分を大切にすること」です。

 

今までは自分を犠牲にしてまで

Aさんの都合を優先していましたから。

 

1時間早く来たら、

約束と違うのだから、

自分を譲って

自分を犠牲にしてまで

Aさんによく見られる必要はないんだ!!

と感じておられました。

 

 

 

Aさんとの次の約束の日です。

 

Aさんは予想通りに

1時間早く来ました。

 

もうおわかりだと思いますが、

Aさんは1時間早く来ることが

「悪い」とわかっているけど、

オーナーさんなら許すはずだ、

という自信がある状況です。

 

つまり、甘く見られているのです。

(甘やかしてる/甘えてる状況です)

 

それを感じると

オーナーさんの心に

決意の炎が立ち上がります。

 

オーナーさんは勇気を使って

「Aさん、今は無理です。

約束より1時間も早いじゃないですか。

今、入られると困るので、

約束の時刻にまた来てください。」と

真剣に伝えました。

 

Aさんは驚きながらも

「はい、そうですよね。

悪いとわかっているのですが、

早く準備をしたいので、

入れて欲しいんですよ。

ほんと、早く来てごめんね。」と

入る気満々です。

 

オーナーさんはひるまずに

「約束は、約束です。

今は無理です。こちらの都合もあるんです。」

と伝えます。

 

そんな押し問答を3回くらい繰り返すと

連れてきた仲間の人に

「今日はダメだって~。

せっかく早く来たのに、ね~。」

とこちらに聞こえるように言いながら

去っていきました。

 

オーナーさんは

もう心臓どきどきです。

 

どきどきしながらも

自分を、守れた!!」と

喜びと安堵を感じました。

 

 

 

その後、再びオーナーさんは

私のところに来られて、

自分を守れたお話をしてくださいました。

 

何がよかったですか?と

聞いてみました。

 

すると、オーナーさんは、

言葉が出ずに、

代わりにぽろぽろ涙を

こぼし始めました。

 

しばらくの、静寂。

 

しばらく経つと

オーナーさんはゆっくりと

話し始めました。

 

自分を犠牲にすることを

どうにかやめたいと思っていたけど、

今までなかなかやめられなかった。

 

そうすることで

やってこられたと

信じていたから。

 

でも今回のAさんの件では、

犠牲が大きすぎたのに

その大きさに気づけなかった。

 

Aさんが来るとぐったり疲れ、

その疲れを引きずって

翌日以降もいろいろと

うまくいかなくて、

頭がおかしくなりそう、

いや、おかしくなっていました。

 

”どうして良いのかわからない”として

自分を見捨ててしまっていたけど、

そのときはわからなかった。

 

でも「今は無理と伝えられる」と聞いて

「そうだ、できることがあるんだ」と

気づけました。

 

気づけたら、

自分を見捨てたこともわかり、

それをひどく後悔しました。

 

”自分が自分を守らないでどうする!”

 

それに約束を守らない人に

「約束を守って」と伝えるのは、

何もおかしくない。

普通のことです。

 

目が、覚めた気分。

 

そして、

実際にAさんに言ってみて、

約束よりも早く入ることを

ちゃんと断ったら、

自分が解放された感じがした。

 

今までぐったりしていたけど、

自分の力を取り戻せた気分。

 

そう自分は

自分を守ることができる。

 

そう感じると、

心がゆるんだ。

 

過去の自分も

取り戻せたような感じもする。

 

Aさんは前回を最後に

1時間早く来ることが

なくなりました。

 

その後は時間通りに

来るようになりました。

 

今は、Aさんが、

これを自分に教えるために

1時間早く来ることを

繰り返したのかもと感じる。

 

今はAさんがオフィスに居ても

ぐったりしくなりました。

 

 

オーナーさん、

私に相談できてよかった、と

笑顔で感謝をくれました。

 

こちらこそ

役に立つ機会をいただけて

ありがとうございます。

 

 

 

 

 

お読みいただき、

ありがとうございます。

 

プロコーチ10年目、常楽でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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