今日は、
アルフレッド・アドラー
示してくれた
甘やかされた子どもとして
育てられた人の結婚の例
について書きました。

この例を参考とすることで
自分自身や周囲の人への
適応がしやすくなります。

目次
・制限を感じる男性との結婚
・注目の中心から外される怖れ
・”弱さ”を使う決断
・独占される夫
・注目の中心にこだわるのは厳しい生き方


■制限を感じる男性との結婚

この女性は一人っ子であり
甘やかされて育ちました。

アドラーの言う
甘やかされた子ども」です。

この女性は、
兄に自分の権利を
制限されていると感じている男性

結婚します。

この男性は
一人っ子として育った
この女性の自由さや
おおらかさ
に惹かれたのでしょう。

この男性が
制限を感じる、ということは、
それに耐えて生きてきたわけで、
辛抱強かったり我慢強かったりして、
そこに「甘えさせてくれそう」と
この女性に感じさせたことも
理解できます。

こうして、
お互いを補い合うかのように
お互いにお互いが
都合のよい存在と感じたのでしょう。

結婚してからは
その生活はとても楽しいものでした。

妻は夫に甘えさせてもらい、
夫は妻を甘やかすことで
満たされていたのでしょう。

お互いがお互いの
注目の中心にある状況
居心地よく感じますから。

■注目の中心から外される怖れ

しかし、
子が生まれてからは
状況は一変します。

妻は子が生まれたことで
夫の注目の中心の座を
子に奪われるのではないか

心配になったので、
子が生まれたことが
嬉しくありませんでした。

夫も夫で
子が生まれたことで
妻の注目の中心の座を
子に奪われるのではないか

恐怖しました。

アドラーの説明では
子の世話はちゃんとしていた
とあるので、子育ては
適切に行われていたようです。

しかし、
妻が夫を、
そして夫が妻を、
いつ自分を注目の中心の座から
外すのかと互いに怖れ、
疑い深くなりました。

人は物事を
見たいように見るわけで、
一度疑ってしまうと、
その疑いを実現させるかのような
証拠を発見してしまうのですから、
この夫婦もその例外では
ありませんでした。

それは例えば
自分が好きな人が
乱暴なことを言っても
好意的に解釈するのに、
自分が嫌いな人が
同じことをしたら
たちまち非難し始める感じに似ています。

相手のどこを見ても
自分を注目の中心の座から
外す兆候として解釈できる
ので、
大変です。

お互いに協力して
しあわせを増やしていくために
結婚したのに、
お互いをお互いが疑うようになり
一緒にいればいるほど
疲れてしまう状況と
なってしまいました。

■”弱さ”を使う決断

夫は家庭での生活に疲れたのか
休暇を取って他の都市に
旅に出ました。

おそらく、
一緒にいることが
困難を感じさせるので、
一緒にいないことで
その改善を図ろうとしたのでしょう。

それは効果を発揮して
旅先での生活は
夫にとって楽しいものになりました。

それはよほど快適だったようで
妻に手紙で
素晴らしい時間を過ごしている。
たくさんの人に会って、
とても充実している。
」と
伝えました。

こんな手紙をもらった妻は、
ついに夫は自分を
注目の中心の座から外したのだ

感じました。

産後の回復をしながら
乳児の世話をする妻は、
ひどく落ち込むこととなりました。

この状況を改善するには
夫に協力を求めたいところですが、
甘やかされて育った妻には
その発想がありません。

夫は自分に注目するのが当然で、
そうでない状況は
ありえないのです


そうして妻は
夫を自分にもっと注目させる、
もっと言えば
夫を独占するために
対話ではなく”弱さ”
使うことを選びます。

自分が夫なしに
生きていけない状況になれば
夫は自分に独占されざるを得なくなる、
という状況を整えればよい、
というわけです。

■独占される夫

甘やかされて育った人は
自分が愛する側に立つという発想
がありません。

自分は愛されるのが当然であり、
自分を愛さない人は
おかしい人
なのです。

つまりは、
自分を愛さない責任は
その相手にある
と考えるのです。

通常は、
自分が相手を愛する側に立つことで
愛された相手が
自分を愛しやすい状況となるのですが、
甘やかされて育った人は
この考えがわからないのです。

それはこの女性、
すなわち妻も同じで、
自分に注目しないで
楽しい時間を過ごしている夫が
さぼっている」と見えるのです。

もっと自分に集中させるためには
それにふさわしい状況を
整えてしまえばよいわけです。

そうして妻は
”弱さ”による支配を実施します。

自分は一人で
外出もできないほど
精神的に病んでしまった

と夫に示したのです。

常に疲れて
怖れに苦しむ者となり、
夫の援助なしには
普通に生きることすら
難しくなった状況を知った夫は
旅先から帰ってきて
妻の援助を始めます。

ひとまず夫が戻ったことに
妻は満足しました。

しかし、
”弱さ”による支配の手を
ゆるめることはできません。

自分の”弱さ”が解決されてしまえば
夫は自分の援助をやめると
思っているから
です。

■注目の中心にこだわるのは厳しい生き方

妻は”弱さ”による支配である
心の病を治療してくれる医師の中に
とくに自分に注目してくれる医師
見つけました。

妻は
夫の独占だけに満足せず、
その医師の注目も
もっと得たいと思いました。

その医師の治療を受けたことで
妻は回復したのですが、
それはその医師によく見られたくて
心の病の症状を出すことを
ちょっと緩めたに過ぎません。

もっとその医師の注目を
得られると思っていたのに、
その医師は症状が回復すると
妻から離れていきました。

役割を終えたので
当然といえば当然です。

しかし、妻はその医師の
注目をもっと得たいために
自分の元へと戻ってくれることを
期待して感謝の手紙を出しました。

その医師は妻にこれ以上
かかわる理由がないためか、
手紙の返事は出しませんでした。

妻は手紙が来ないことで
その医師の注目の中心の座から
自分が外されたのだ
と感じました。

自分がこんなに頑張ったのに
自分に支配されないなんて、
あり得ない!と思ったのでしょう。

それからは
症状がひどくなる一方でした。

自分がこの状況になったのは
自分の責任なのですが、
妻は自分に責任があるとは
考えることができませんでした。

これが甘やかされた子どもの
特徴です。

誰か責任を負う人が必要であり、
やはり適任は夫だと考えました。

そうして夫に対して
復讐することを考え始めます。

しかし、夫の援助なしに
生活できないと信じる妻は、
夫に対して復讐することは
自分の生活にも関係してしまう
ため、
その復讐はうまくいきませんでした。

妻は、
自分の望む通りの生活を
手に入れているのですが、
当の本人は
こんな状況にさせられた、と
考えてしまうために、
成功しているけど、
成功していない
、という
矛盾を抱えて生きることになります。

この例を見ると
甘やかされた人の結婚は
”甘やかされた”と認識できれば
改善に向かうことができますが、
それを認識できずに生きると
とても大変なのだとわかります。

他者に関心を持ち、
他者に貢献する活動、
すなわち自分が愛する側に立ち、
人生に有用な面において
実際に他者貢献をすることで
感じるしあわせは増える

アドラーが勧めている理由が
よくわかります。





お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ10年目、常楽でした。



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