今日はA風な人の
「わかろうとしない」
について書きました。

目次
・夢のような貢献搾取システム
・私の幼い頃の経験
・搾取システムから抜ける
・「わかろうとしない」への対策


■夢のような貢献搾取システム

私、常楽は医師ではなくコーチなので
アルペルガー症候群っぽい人を
”あすぺるがー風な人”と呼んでます。

略して「A風な人」。

私の父親がA風な人です。

この人は、チャンスがあれば
「わかろうとしない」を使います。

なぜなら、
これを使うことで
相手の注目を
独占できるから
です。

そして、
「わからない自分」に
”一生懸命に説明させる”という方法で
相手の貢献を搾取できます

さらには
「わからない」は一般に
「悪いことではない」とされるため
わからない自分は無罪」なので、
胸を張って堂々と貢献の搾取が
できるという優れものなのです。

誰かが横から入ってきても
自分は「わからない」と
言っているだけなので責められない、
という自信があるのです。

他者に注目するということは
どんなに短くても
自分の人生の一部、
すなわち、
自分の命の一部を
相手に捧げる行為
です。

相手を自分に注目させれば
命の一部を
自分に捧げさせることになります。

すると、
自分はその場の支配者となり、
相手は自分に注目しているけど
自分は相手に注目しなくてもよいので
その立場の差に生存可能性の増大
すなわち優越感を感じるわけです。

その先で相手が
何度説明してもわからない自分に
怒り出すと「モメる」ことができます。

それは、
A風な人には嬉しいことです。

なぜなら、
モメればモメるほどに
相手は自分への注目を強めますので
搾取できる貢献も増えますから、
得られる優越感もその分増えます。

だから「モメる」と
説明する側が消耗・疲弊し、
される側は満たされていくわけです。

A風な人にとって「わからない」は
まさに夢のような
貢献搾取システム
なのです。

それはつまり、
A風な人にとっては
「わかろうとする」ことより
「わかろうとしない」方が
都合が良い
、ということです。

■私の幼い頃の経験

私が幼い頃に
父親が私に質問しました。

よく憶えていませんが、
5+5はいくつ?
みたいな簡単なものです。

10だよ」と
私がそれに答えます。

すると父親はそれを
それじゃわからない」と言って
再び説明を求めます。

私がそれに応じ、
5個と5個を足すと10個だよ
みたいに、より詳しく説明します。

父親はそれも
それじゃわからない」と言って
再び説明を求めます。

私がそれに応じ、
片手の指が5本だから
片手と片手で10本だよ
」みたいに
さらに詳しく説明します。

父親はそれでも
それじゃわからない」と言って
さらなる説明を要求します。

3回説明してもわからないので
私はその態度に怒り出します。

なんで!?
今言った通りだよ?
なんでわからないの?


すると父親は
即座に話題を変えます。

そんなに怒るなよ

そうして
モメる」こととなり、
私は消耗しますが、
父親は喜びます。

はじめのうちは
なんとか父親の役に立とうとして
どうしたらわかってくれるのか」を
必死に考えてました。

それこそ
四六時中考えてました。

でも、何度もされるうちに
父親の理解しようとしない態度
だんだん嫌になってきました。

嫌なので、
わかろうとしない父親に
対する怒りもだんだん
大きくなっていきました。

なんだかとても
バカにされてるようで
本当に嫌だったので、
わからないならもういいよ!
と叫ぶようにして怒鳴りました。

すると父親は
満面の笑みを浮かべながら
もういいよなんて言わないで
ちゃんとおしえてよ
」と言ってきます。

その”満面の笑み”が
当時の私にとても不気味
見えました。

なぜなら、
こんなに真面目に誠実に
何度も答えているのに、
誰でもわかるように説明しているのに、
それでもわからないなら
普通なら悲しくなると感じたからです。

ところが今目の前にあるのは
満面の笑み”です。

今なら
怒鳴るくらいに
私の命を父親に注いだために
それ相応に大きな優越感
得られて嬉しいのだな、と
わかりますが、
当時の私はわかりませんでした。

私の怒鳴り声を聞きつけて
頼みもしないのに
横から母親が参加してきます。

そんな怒鳴ったら
おとうさんがわかることも
わからなくなちゃいますよ。

せっかくおとうさんが
訊いているのだから
ちゃんとおしえてあげなきゃ
ダメでしょう?


え?悪いのは、私ですか!?

こうして母親も
父親の「わかろうとしない」を使った
優越感の搾取に加担するのです。


母親はいつも
父親に見捨てられること
ひどく怯えていたので、
父親の味方をしないことで
父親の矛先が自分に向くことを
避けようと必死なのでしょう。

これも当時はわからなかったので、
言われた通りに
父親にわかるように
説明できない自分がダメなんだ
」と
真剣に思いました。

中学生にもなると
こんなダメな自分だから
死んで親にお詫びしなければいけない

と真剣に考えたことすらあります。

しかし、その後に
父親から性被害を受けると
頭の中で火花が散ったような
バチン!」という何かが
ちぎれるような感覚がありました。

母親からの二次被害もあり
自分が木っ端みじんに壊れた感
感じました。

それからは
お詫びをするとかしないとかではなく
ただ生き延びたい
思うようになりました。

振り返れば私は
幼い頃から
父親に貢献の搾取を
され続けてきた感じです。

なので、
父親を満足させられない自分は
ダメな自分だと刷り込まれて
いたように感じます。

父親も母親も
自分たちの理屈が通らずに
旗色が悪くなるとすぐに
見捨てるぞ」と言う人でした。

幼い頃から
「見捨てるぞ」と脅されてしまうと
見捨てられないようにするために
常に親に負け続けること
自分の身を守ってきた感じです。

しかし、その後転機が訪れます。

見捨てられる覚悟を持ったのです。

■搾取システムから抜ける

「わかろうとしない」を使うA風な人は
相手に何か”切り札”を持っており、
使わせてくれない場合に
その”切り札”をチラつかせること
相手を支配下に置こうとします。

それは、
私の父親の場合は
見捨てるぞ」でした。

幼い私は見捨てられると
生きていけないと
真剣に思っていたので
「見捨てるぞ」に対抗する術がない
と信じていました。

だから、いくら
「わかろうとしない」を使われても
泣き寝入りする他ありませんでした。

父親としては
こんなに快適で愉快な状況は
他にないでしょう。

貢献の搾取をいくらしても
離れていかない存在が
すぐ近くにいるのですから


A風な人は
必ず勝てる競争を仕掛けて勝利する
が大好きです。

A風な人にとって他者は
それをして
優越感を得るための
”ただの道具”です。

だれでも”ただの道具”にされて
貢献を搾取され続けるのはですから
外部の人は皆、具体的な用がない限りは
父親と関係を持とうとしません。

そんな中で
何度も貢献の搾取をしても
関係が切れない存在は
本当に都合が良いのです。

母親は大人なので
あまりにやりすぎると
抵抗すると簡単に予想できます。

それに
家事一切について
母親に依存している父親は
あまりにやりすぎて
母親が離れてしまうと
今度は家事がまるでできない自分は
生きていけなくなってしまう

と信じているため、
母親にやりすぎるのは
父親にとって
都合が悪い部分があるのです。

私には姉がいるので
姉が対象になっても
良さそうですが、
姉は「女性」ですから
セクハラみたいになることを
怖れていたようで、
対象にするには不都合だったようです。

そこで最も都合が良いのが私
となってしまったわけです。

「わかろうとしない」を
私にいくらしても大丈夫だと
思ったようです。

まったくありがたくない話です。

子に教育する立場の親が、
教育などまるでせずに
子を利用して
自分の利益である優越感を、
貢献の搾取をやりたい放題

なのですから、ひどい話です。

高校卒業してから
もうやぶれかぶれで
私が見捨てられる覚悟をして
見捨ててみろよ」と言って
受けて立ったとき父親は
ものすごい驚愕の表情をしていました。

子を見捨てる親は
社会的に「悪者」と扱われますから、
自分は善人であると信じている父親
本当に見捨てることなど
できはしなかったのです。

これに気づいたのが
「見捨ててみろよ」と
言った後
でした。

もっと早く気づいていれば
あれもこれも違ったのに、
なんて当時はひどく後悔してました。

貢献の搾取を
され続けてきて、
それを許してしまった自分が
くやしいのです。

自分で自分を守れなかったことが
ものすごく自分に申し訳ないのです。

その思いは
その後20~30年の間にあった
「本気で泣けるときに
本気でな泣けたこと」で
解消してきたように感じます。

また、
心の最後の解放をしてくれたのは
メンタルコーチでした。

■「わかろうとしない」への対策

「わかろうとしない」を使う
A風な人に対しては、
”切り札”を使わせて、
その”切り札”の効果がないように
してしまうこと
です。

その具体的方法は
状況によってさまざまなので
一概に「これです」とは
言えませんが、
おそらく何かをA風な人に
依存していると、
それが弱みとなって
A風な人の横暴なふるまいを
許してしまうのではないでしょうか。

つまりは、
最も効果的なのは
自立すること、です。

自立とは
経済的自立もありますが、
「される側」から
する側」に立つように
することでもあります。

A風な人の力を借りずとも
生きていける道を見出して
その道を歩いてみることで
「わかろうとしない」の効果を
なくしていくことができるのです。


その一方で、
「わかろうとしない」を使うと
A風な人が損することを
説明してあげること
も効果的です。

A風な人は
他者の利害には興味ありませんが、
自分の利害にはとても興味があります

例えば、
今わかってくれないと
今日の夕ご飯が
遅くなっちゃうんだけど
それでも良いですか?

みたに言うことです。

A風な人は
自分の予定を変えたくない
予定通りに行動することで
安心できる
と思いますから、
これを利用するわけです。

自分の予定の時刻に
夕ご飯が食べられないと
自分の予定が狂ってしまいます。

それは自分の損失なので
それは大変だ!」となります。

そんな問題を回避するためには
今ここで「わかろうとしない」を
やめて「わかろうとする」を
しないといけないと思うわけです。

逆に
A風な人が得られる利益を
示してあげることも効果的です。

今わかってくれたら
食事のメニューに
○○追加できるんだけどな。
でも、できなくても
しかたありませんね。

みたいな感じです。

○○が
A風な人の好きなメニューであれば
効果的です。

個人的には
未来の損失を感じてもらう方
効果的だと感じてます。


A風な人とは
合意の形成」と
気持ちの通い合い」を
目標としたやりとりは
しないことです。

なぜなら、A風な人とは
それらはできないからです。

でも、
A風な人の利益が実現する約束なら
A風な人はちゃんと守ってくれます


約束を守りたいとか、
誠意を示したいとか
良好な関係を持ちたい、ではなくて、
単純に自分の利益が欲しいからです。

損失を回避できる約束も同じです。

そんな感じで
一歩引いた視点で
上手にふるまうと
やりとりのストレスも
軽くできます。





お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ10年目、常楽でした。





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