■少女なら成功できる

アルフレッド・アドラー
早期回想で印象的だった
甘やかされた14歳の少年について
説明しています。

早期回想とは
カウンセリング法のひとつで
過去を思い出せる中で
最も古くて印象的な記憶を
話してもらうことで
その人がどんな人なのかを
知ろうとするもの
です。

過去の記憶はたくさんあります。

「古い記憶について話してください」
と言われると、その人が
たくさんある記憶の中から
わざわざ選ぶ記憶は
その人がどんな人かを示している

というわけです。

また、甘やかされた、とは
本人の課題を本人以外が
肩代わりして育てられたこと

指します。

彼が早期回想で話したのは
母親と一緒に外出したときに
彼のかわいらしい姿を見た人が
「なんてかわいい女の子なんでしょう」と
言ったこと
でした。

また、
彼は運動一般が苦手で
数学も苦手でした。

アドラーいわく、これらは
”問題に着手する際に
自立した応用の力を必要とするから”

であり、それはすなわち、
問題解決にある困難を避ける傾向を
示しているということを意味します。

また、
最も身近な存在である母親に
男性の筋肉を見ると
性的に興奮すると打ち明けたこと

話してくれました。

ひととおり聞いたアドラー
この少年が少女になることで
成功しようとしている
と見抜きます。

■あなた自身の力で生きられる

アドラーはこの少年に
女性にないたいのですか?と
訊いたところ明確に否定しました。

なるほど、意識の上では
男性でありたいと望んでいるわけです。

しかし本能的には
少女のようにしている方が
言い寄られる女性のように
簡単に他者の注目を得られること

十分に承知しているのは明らかでした。

彼は3人兄弟の第一子で、
第二子と末子に親の注目を
持っていかれるなどして敗北し、
男性としては勝てないと
確信を得たこと
も影響しています。

さらには見た目が
本当に少女のようであり、
その容姿を効果的に活かすために
”怠惰と無能力に逃げた”
アドラーは説明しています。

そうして同性愛の目標
持つことで自分は容易に
生き延びられると感じたわけです。

また、このような人は
自分が支配できない状況を
とにかく嫌って避ける傾向がある

とも説明しています。

アドラーは次のように言って
この件の説明を終えています。

「このようなライフスタイル(性格)は
相対的な力、または、支配権を患者に
与えるということを明確に理解
しなければならない。」


つまり、
弱さを使って生き延びようとする人、
すなわち、
相手に自分を支配させることで
生き延びられると信じている人には
あなたには力があり、
その力を使って生きる道がある、と
理解してもらえるような働きかけが
効果的である
、というわけです。

幼い頃に
男性の役割で敗北すると
女性の役割で勝利しようと
試みる、という例でした。




お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ10年目、常楽でした。



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