■「一日一善」とは何のため?


誰もが聞いたことのある「一日一膳」。

この 「一日一善」の目的は
人生をより楽しく生きるため、です。

そのために一日ひとつの
「善い行い」をしましょう
ということです。

では、
そもそも「善い行い」とは何でしょう?

これがわかると
「一日一善」を楽々続けることができて
人生はより楽しくなっていきます。


■この記事を読むメリット


・「一日一善」とは何か?がわかります。
・「一日一善」を続けやすくなります。
・なぜ人生が楽しくなるのかがわかります。
・すでに日常の中にたくさんあったことがわかります。


■「一日一善」で、なぜ人生が楽しくなるの?


 それは「因果応報(いんがおうほう)」に基づいています。

「因果応報」とは、

”自分がしたことと同じものが
自分に返ってくる”

という意味です。


善いことをすると善いことが、
悪いことをすると悪いことが、
自分に返ってくるわけです。

一日ひとつ善い行いをすることで、
自分に返ってくるものが
善いものになるように
期待しているわけです。



笑顔を向けると笑顔で応じてくれた。
不愛想に接すると相手も不愛想で応じてきた。
そんな経験ありますよね。

相手が丁寧に接してきてくれると
こちらも丁寧に応じたくなったり、

相手が乱暴だとこちらも
相手を乱暴に扱いたくなったり。


日本語においても

・自業自得(じごうじとく)
・身から出たサビ
・天にツバ吐く
・日ごろの行いが善いから(悪いから)
 ○○なんだよ…など

日常に浸透していることですよね。


■「一日一善」の起源は仏教


一日一善とは
仏教の「六度万行(ろくどまんぎょう)」を語源とする言葉です。

この「六度万行」とは
お釈迦さまが
「幸せになるにはこの6つの徳を積みなさい」
と教えてくれているものです。


■自分なりの「一日一善」ではダメ?


いいえ、ダメではありません。
むしろそのアイデアはすばらしいです。

ただ、直感のみで行動すると
相手から
「善の押し付け」
「ひとり善がり」
見えてしまうことも
あるかもしれません。

そこで
仏教として古くから
伝えられてきた
「六度万行」
理解した上ですると
「善の押し付け」や
「ひとり善がり」に
なりにくくなります。


私自身、これを知る前は
自分は善いことなんて
できてないダメなやつ、と
思ってましたし、

相手に善かれとやってみると
ただ迷惑かけただけだったりして
「一日一善」なんて無理だ、と
諦めていました。

でも、
「六度万行」を理解していくと

実はすでに
できていたこともあったりして

勇気がわいてきて
生きることが
次第に楽しくなりました。


■「六度万行(ろくどまんぎょう)」とは?


何やら難しそうですが
内容は身近なことばかりなので
わかってしまうとカンタンです。

六度万行は
六波羅蜜(ろくはらみつ)としても
知られています。

この「六」は次のとおりです。

・布施(ふせ)
・持戒(じかい)
・忍辱(にんにく)
・精進(しょうじん)
・禅定(ぜんじょう)
・智慧(ちえ)


これらも漢字2文字で
難しそうな感じですよね。
でも、内容はシンプルです。

ひとつずつ説明していきます。



1 布施(ふせ)
相手に
親切にしてあげましょう
ということです。

お金や物を与えることや
自分の身をもって
相手が喜ぶことを
してあげることです。

2 持戒(じかい)
決まりごとを守ること
約束を守ること、です。

言った通り
思った通りに行動する
ということです。

3 忍辱(にんにく)
忍耐することです。

感情的になって
反射的に行動してしまう経験は
どなたにもあると思います。

そんなときに
反射的に行動したくなっても

一度止まって、穏やかな心で
最善の行動を見つけていこうとする、
ということです。

4 精進(しょうじん)
目的に向かって
努力し続けることです。

掲げた目的に向かおうとして
他のことを始めてしまった経験、
ありますよね...

例えば、
資格をとる!と
いざ勉強を始めようとすると、

急にかたづけや
メールチェックしたくなって、
そちらを始めてしまう。

当初の目的の
資格の勉強が後回しになってしまった、
といった感じです。

精進は、
本来の道を外れることなく
目的に向かって
真剣に取り組み続けようと
することです。

5 禅定(ぜんじょう)
過去でも未来でもなく
「今」を生きましょう、
ということです。

あのときああすれば良かったと
後悔しているときは、
過去に生きています。

この先どうなってしまうのだろうと
心配しているとき、
未来に生きています。

今を生きるということは、
後悔は経験として、
心配は未来予測として、
それぞれを今の行動計画に役立てる
ということです。

6 智慧(ちえ)
これは
布施、持戒、忍辱、精進、禅定を
生活に取り入れて
自分を磨いていきましょう
ということです。

大切なことは5つです。
その5つを実際にやりましょう
ということです。


■「一日一善」はすでにやっている!?


「六度万行」のどれかを
一日一回することが
「一日一善」です。

(一日に二回以上やっても
もちろん大丈夫です!)

この「六度万行」は
私たちが日常的に
していることで見ると、
例えばこんな感じになります。

■布施
相手に笑顔で挨拶する。
食事を御馳走する。
相手を助ける行動をする。
自分のお金や物をあげる。

■持戒
約束の時間に待ち合わせ場所に居る。
納期に間に合うように納品する。

■忍辱
相手を怒らせてしまった時、
まず謝罪する。
買いたい衝動を感じたとき、
買う前に一度考える。

■精進
毎日仕事をする。
毎日家事をする。
日々身体を鍛える。

■禅定
不安を感じたとき、
今できることをやろうと行動を起こす。
今やることに集中する。

■智慧
上記5つを生活で
意識して実施しようとすること。

(お互いの悲しみが
増えるようなことは避け、
喜びが増えるような
思考や行動をしようとすること、
とも言えると個人的には思ってます。)


■六度万行、さらに、シンプルに



六度万行を
さらにシンプルにまとめると
次のようになります。

布施:わかちあい
持戒:言った通りに行動している
忍辱:感情と行動をそれぞれ区別して扱う
精進:継続は力なり
禅定:今を生きる
智慧:冷静かつ情熱的に生きる(上5つのまとめ)



■ふたつの解釈「広と狭」



「一日一善」を広く解釈すれば
一日にひとつすると達成します。

一方で、狭く解釈するなら
一日に6つ全部をやってはじめて達成、
ということになります。

どちらの解釈にするのかは
自分を含め関わる人たちが
より楽しくなる方を選ぶと良いですよね。
(どちらかでないとダメ、
ということではありません。)


■やって幸せになるのか、やること自体が幸せなのか



「やること自体を幸せ」に
する方がやりやすいです。

「一日一善」すると
必ず幸せになれるか?は
わかりません。

なぜならその幸せは
「今」ではなく未来に
自分が感じることだからです。

しかし
今やる「一日一善」は、
未来の自分の幸せの増大に
つながりますから、
やること自体に幸せを
感じる方がやりやすいですね。


■できなかった自分を責めてしまう


加点主義で取り組むことがオススメです。

やろうと決めてやらなかったりしたら
つい自分にダメ出ししてしまいそうです。

そんな満点から減点する減点主義は
人間の心理として継続すればするほど
苦しくなります。

その分満点とったときの
喜びも大きいのですが、
長期的に見て消耗しやすい考え方です。

ゼロから始めて
できた箇所の点を足していく加点主義は、
人間の心理として継続しやすいです。

なぜなら、
減点主義では「やらねばならない」と
なるところが加点主義では
「やると良いこと」となりますから。
目的に目を向けやすいです。



何もしなかった場合に
それが減点主義では
「ダメなこと」と
なってしまいますが、

加点主義では何もないので、
過去よりも未来へ目を向けやすいです。


■毎朝目覚めたときはゼロ



一日一善のイメージは
朝目覚めてから行動していく中で
「一日一善」として実践したものが
積み上がっていく感じです。

昨日の分は昨日。
今日の分は今日。
明日の分は明日、やれば良いわけです。


■まとめ


ここまでお読みいただき
ありがとうございます。

すでにやっていること、
普段あまり
意識してこなかったことなど、
お気づきになったことが
あったと思います。

大切なのは
「これからどうするか」なので、
因果応報、ぜひ一日一善を実行して
善いことが自分の身に起きることを
増やしていきましょう。

■さらに、誰でも簡単にチェックできる案


でも、
「六度万行」を憶えていられないし
やるたびにいちいちチェックするのは大変、
と感じることもありますよね。

そこで最後に
誰でもカンタンに楽しく
チェックできるアイデアを
お伝えします。

・毎日1分間を未来に投資する
新しいことを習慣にするのは
なかなか大変です。

そこで毎日の時間のうち
「1分間」だけ
1日を振り返ることに
使ってみませんか?

最初に一番大事なのは
「続けること」です。

逆にそれ以外は
意識しなくて大丈夫です。

毎日決めた時間帯に
そこまでの24時間でやった
「六度万行」について振り返ります。
振り返りは「思う」だけです。

「荷物を持ってあげたのは、布施」
「約束の時間に間に合ったのは、持戒」
「今日もここで振り返ってるから、これは精進」
という感じです。

だいたい1分間したら終了です。
1分間を正確に測る必要はありません。
これを日々続けていくわけです。



はじめのうちの振り返りは
次のリストを見ながらすると、
やりやすいです。

誰でも六度万行
 布施:わかちあえたこと
 持戒:言った通りに行動したこと
 忍辱:感情と行動を区別できたこと
 精進:継続できたこと
 禅定:集中して取り組んだこと
 智慧:上5つをやろうと思ったこと



・振り返りは「できたこと」だけを見る
振り返りで大切なのは
「できたこと」を見ることです。
「できなかったこと」は
振り返りで見る必要はありません。

「できたこと」を見ると
うれしい気持ちになったり
どうしたらもっと良くなるか(改善案)を
出しやすかったりで、
日々続けやすくなります。

・はじめは自分一人でする
この活動を始めると
「一日一善やってるんだ」みたいに
誰かに話したくなってしまうかもしれません。
そこで話さずに
一人ですることが、大切です。

なぜなら「できたこと」の
判断基準が人それぞれ違うからです。

あなたの「できたこと」は
あなたが決めることであって、
あなた以外の人が決めるものでは
ありません。

認識の違いから
「これは布施だ」「それは違うよ」
なんてやりとりをすること自体に
意味はありません。

あなたの習慣となるまでは
一人ですることがオススメです。

■最後に


最後までお読みいただき、
ありがとうございます。

ぜひ「一日一善」を活用して
あなたの幸せを
ぐんぐん増やして欲しいです。

なお、常楽は仏教学者ではなく
仏教などにヒントを得たコーチングを
しているメンタルコーチです。

僧侶や学者など仏教の
権威の方から見たら「違うよ」と
言いたくなる箇所があるかもしれません。

でも実際にコーチングでの成功体験を
基礎に書いておりますので、
そのあたりはご容赦ください。




お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ常楽8年目、常楽でした。



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