「お前も私の年齢になったら
私がどんなに大変かが、わかるよ」

私の母親の捨て台詞です。
私には母親の大変さがわからないから
母親の自分を責める資格はない、
という意味のようです。




私には
「私は無罪だ。
その判定できる年齢でないお前には
有罪か無罪かの判定ができないのだよ。」
と言われてるようでした。

でも、無罪だ、ということは
有罪が何かを知っているから
言えるわけですよね。

知っている、ということは
経験がある、ということですね。





小学校や中学校のときは
すごく違和感を感じながらも
「その年齢になるとわかるのか...」と
言いくるめられてました。

年齢差が縮まることがないため
この捨て台詞は生涯使えますね。
そして覆すことは、ずっとできない。

覆そうと抵抗を示すと
悲しそうに言われるため
「親を悲しませたくない自分」は
自分を犠牲にするしかありませんでした。





本は大事だ。
だから本は大切に扱わなければならない。

偉そうに言ってくる母親に
「なんで?」と訊きました。
何を根拠に価値観を押し付けてくるのか
その理由を訊きました。

すると母親は
本は大事と言われている。
本を大切にしない人はいない。
本を大切にしないと罰が当たると
言われている。
と教えてくれました。

まるで納得いかないので
「誰が言ってるの?」と訊くと
「みんなそう言っている」と言う。

「みんなって誰?」
「みんなって、みんなよ」

「僕が本を大切にしなければ
大切にしない人がいることになるよ」
「いけません。大切にしなさい。」

「罰が当たるって何が起きるの?」
「悪いことが起きるよ。」
「悪いことって何?」
「悪いことは、悪いこと」


そして...
普段まるで本を読まない母親が
なんで本について教えられるのかが
とても不思議でした。
それこそ、そんな資格なんて
あなたにはないんじゃないかと。

「おかあさんは本読まないの?」
「読むと眠くなっちゃうから読めない」
「僕も眠くなるから読めない」
「あなたは違うから、読みなさい」

話せば話すほど
謎が深まるばかりです。

いいから言う通りにしろ。
そう言われ続ける思いばかり強くなる。

自分がやって役に立ったことを
共有してくれたら、うれしいですね。

でも、やったことがないことを
「私にはわからないけど
やると良いって聞いたよ。」って
おすすめしてくれるなら聞きやすいけど、
「なんで良いかは知らんけど、いいからやれ」
と押し付けてきたら
受け取るのは難しいですね。




納得したくて
あれこれ訊くのだけど
全部抵抗とみなされて
叩き落されるがごとく
「いいから従え」と言われてしまう。

何のためにするのか
わからないまま
「言われたからやる」となる。

やっていても
何の役に立つのかが見えないので
やればやるほど苦しくなる。

おかしい
おかしい
そう思い続けて
「助けて」の意味も込めて
コミュニケーションを続けると
最終最後に出てくるのが

「お前も私の年齢になったら
私がどんなに大変かが、わかるよ」




それが
わかるから、何なんだ。
わからないから、何なんだ。
あなたの何かを成立させるために
俺を利用するな!
この思いに至るまで
ずいぶん時間がかかった記憶があります。

具体的に「いつ」かは憶えてないけど
20~25歳のどこかだったと思う。

ブラックボックス(謎)な部分がある
コミュニケーションは
うさん臭いので、気づいたら離れます。
コミュニケーションはそれ以上しませんね。

でも親子となると
離れようにもできないため
コミュニケーションを断てません。

だから親の人
そして親になる人には
ブラックボックス(謎)な部分のない
クリアな、対等なコミュニケーションを
することをお勧めします。

ほんと、大切です、これ。





今振り返ってみて
何と言われたら
気持ちよくコミュニケーションを
続けられたか。


「私は本を読むと眠くなって
続けるのが大変なんだけど、
本を読んで役に立ってる人を
見たことがあって、その姿に憧れる。
あなたも本を読んでみたら
役に立つかもしれないよ。」

「私もこの年齢で大変なんだよ。
それもこの年齢になってわかった。
お前はまだこの年齢になってないから
今からやったら同じ大変な思いを
しなくて済むことがあると思うんだ。」


上から目線じゃなくて
対等な目線から話されたら
すごい元気が湧いてきます。





お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ7年目、常楽でした。



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