KATOからキハ85系の新製品が2024年2月に発売予定と発表があったのは、9月29日のことでした。

 

1991年に最初の製品(第一世代製品)が発売されて以降、2004年に車両構成を変更した製品(第二世代製品)が発売され、2017年にはキロ85とキハ84-300番台を加えた製品(第三世代製品)が発売されています。2024年に発売される新製品(第四世代製品)には、以前から要望の高かったキハ85形200番台・キハ84形200番台が新規金型で製品化されます。

 

9月29日のキハ85系新製品の発表以降、私が以前に投稿したKATO製キハ85系の関連記事に連日多数のアクセスを頂いており、キハ85系新製品への期待の高さが窺えます。

中でも最もアクセス数が最も多いのは、上表による「KATO キハ85系セットの内訳を整理してみた」(2022年8月9日投稿 →こちら)で、新製品と従来製品との構成の違いに関心が集まっているように見受けられます。

 

KATOのホームページに記載された製品紹介から、私流に整理すると共に、文字説明のみでは判り難い200番台車両の製品イメージを画像で想定してみることにしました。

 

【新製品の構成整理】

製品ラインナップは、①4両基本セット(品番10-1886),②3両増結セットA(品番10-1887),③4両増結セットB(品番10-1888)の3種類です。現行の第三世代製品と比べるのが、判り易いと思います。

 

①4両基本セット(品番10-1886) 18,480円(税込)

「キハ85-6+キロハ84-7+キハ84-5 (M)+キハ85-1117」 (税込)

構成車種は、現行の4両基本セット(品番10-1404)と全く同じで、車番が異なります。

(キハ85-7+キロハ84-9+キハ85-12 (M)+キハ85-1104)

 

写真は現行の4両基本セット(品番10-1404)です。新製品の4両基本セットも同じ車両構成になり、行先表示シール、消灯スイッチ用ドライバー、鹿衝撃緩和装置付スカート(キハ85-0番台用、キハ85-1100番台用 ×各1)が付属します。

【追記】 2024.3.14 7両用ブックケース入りで発売されました。

 

②3両増結セットA(品番10-1887) 10,120円(税込)

「キハ85-1112+キハ84-305+キロ85-3」

構成車種は、現行の5両増結セット(品番10-1405)から、キハ85-1100番台の1両とキハ84-0番台を抜いて3両セットにしたもので、車番が異なります。

(キハ85-1105+キハ85-1109+キハ84-7+キハ84-303+キロ85-5)

 

写真は現行の5両増結セット(品番10-1405)です。新製品の3両増結セットでは、上から2両目と3両目を抜いた構成になり、消灯スイッチ用ドライバーが付属します。

【追記】 2024.3.14 3両用紙箱ケース入りで発売され、4両基本セット(品番10-1886)のブックケースに収容可能です。

 

③4両増結セットB(品番10-1888) 14,740円(税込)

キハ85-1108+キハ84-9+キハ84-203+キハ85-202」

構成は、現行の5両増結セット(品番10-1405)から抜いた2両に、新規製作の200番台の2両を加えて4両セットに組み直したもので、抜いた2両とは車番が異なります。

写真は新製品の4両増結セットB(品番10-1888)のイメージ(現行製品の詰合せ)で、行先表示シール、消灯スイッチ用ドライバーが付属します。

 

 

【200番台車両の製品イメージ】

新規金型で製作されるのは、④キハ84-200番台,⑤キハ85-200番台です。

 

④キハ84-200番台

KATOの製品説明文では、「キハ84 200は他車とは異なる幅広の客扉、キハ84 0とは異なる窓配置を再現」となっています。実車は、0番台(定員68名)に対して、当初から車椅子対応設備を設け、客扉や車内仕切扉の幅が広くなった車両(定員64名)で、客扉が750mm→1000mmに拡幅(扉窓は同寸)され、更に客室寄りに移設されたため、反対側の車端にあった客室小窓がなくなりました。屋根上機器が300番台と同じ形状のものに変更され、更に水タンクが増設されています。

 

キハ84-0番台

 

キハ84-200番台(イメージ)

 

 

 

⑤キハ85-200番台

KATOの製品説明文では、「100(1100)番台とは異なる客扉周りの形態と屋根上機器配置のキハ85 200を再現」となっています。実車は、当初の100番台(定員64名)の車端に男性用小便所を増設して200番台(定員60名に減少)とした車両で、客扉が客室側に移設されたため、扉寄りにあった客室小窓(1100番台ではブラックアウトされた)部分がありません。屋根上機器が300番台と同じ形状のものに変更されています。

 

キハ85-100番台

 

キハ85-1100番台

 

キハ85-200番台(イメージ)

 

 

 

屋根上機器は、特急「ひだ」対応で1990年までに製造された車両は角ばった形状でしたが、特急「南紀」対応で1992年以降に増備された車両は丸みを帯びた形状に変更されています。後者に該当するのが、キハ85-200番台,キハ84-200/300番台,キロ85になり、模型も実車の区分に従って、異なる形状で製品化されています。

屋根上機器の形状が異なるキハ84-0番台(奥側)とキハ84-300番台(手前)

 

第四世代製品となる新製品でも、動力ユニットはフライホイールなしの旧タイプで、連結器は台車マウントのKATOカプラーNJPB(灰)で変更されていません。既存製品と混結使用する機会が多い製品ですので、変更されない方が好ましいと思います。

 

 

ところで、新製品とは直接関係ないのですが、キハ85-100番台とキハ85-1100番台との違いについて、ここに記載しておきます。実車は、キハ85-100番台をバリアフリー対応改造して、キハ85-1100番台に改番(100番台は消滅)されました。具体的には、客扉脇の客室小窓箇所の座席を撤去してデッキスペースを拡張し、小窓部分はブラックアウト処理がされています。更に隣の客室大窓箇所で、高床構造であった車内座席を段差をなくしたバリアフリーの車椅子対応座席として配置を変え、その前の座席は撤去されています。

キハ85-1100番台の車椅子対応座席(出典:ウイキペディア「JR東海キハ85系気動車」)

 

模型での再現状況を見てみます。

キハ85-100番台(第一/第二世代製品)

 

キハ85-1100番台(第三世代製品)

 

キハ85-100番台(第一/第二世代製品)で、扉脇の小窓箇所に座席があることが判ります。

 

キハ85-1100番台(第三世代製品)では、バリアフリー対応改造に伴う小窓箇所のブラックアウト処理が再現されています。

 

ブラックアウト処理は、黒色のプラ製仕切り板を嵌め込むことで表現してありました。

 

キハ85-100番台の下回りを並べて比べてみました。キハ85-1100番台では座席パーツ自体が別設計のパーツに変更されているのにも関わらず、車椅子座席の表現がされていないのは何故なのでしょうか。

 

理由は、手前に置いた第三世代製品のキハ85-0番台の座席パーツを共用していたからです。ブラックアウト処理の黒色仕切り板の中にも座席があるのもこれで頷けます。

 

他に変更された箇所を挙げてみます。

左側のキハ85-100番台(第一/第二世代製品)では、前面貫通扉には銀色のホロアダプター取付枠が表現されていますが、右側のキハ85-1100番台(第三世代製品)では、白色のホロアダプターが装着されました。実車も当初は必要に応じてホロアダプターを装着する運用だったのが、後年には常時装着に変更され、模型もこれを踏襲して標準装着に変更されたようです。前面スカートは、キハ85-100番台(第一/第二世代製品)では床板と一体成型されていましたが、キハ85-1100番台(第三世代製品)から別パーツ化されて着脱可能となり、製品添付の鹿衝撃緩和装置付スカートと交換できるようになっています。

また、第三世代製品から、後部台車の車端部側に循環式汚物処理タンクを表現した床下機器が装着されており、ASSYパーツとしても販売されているので、第一/第二世代製品にも追加で装着可能です。ライトのLED化などもありますが、キハ85-0番台と同一構成(→こちら)ですので記載は省略します。以上の第三世代製品で適用された事項に加え、新製品のキハ85-1100番台には車椅子マークも印刷表示されるとのことです。

 

 

ここで本題に戻ります。関連商品としてキハ85系専用の室内灯と、増結セット用動力装置があります。室内灯は、第一/第二世代製品では電球方式が標準装備されていましたが、第三世代製品からはオプションとなり、LED方式の室内灯が別売となりました。キハ85系増結セット用動力装置も発売されます。

 

⑥LED室内灯クリア キハ85系用 4両分入(品番11-225) 3,520円

第三世代製品と共に発売されたキハ85系用LED室内灯(品番11-223)は5両用でしたが、新製品の構成に合わせて4両用に変更され、構成は「先頭車2両分+中間車2両分」になります。

 

⑦キハ85系増結セット用動力装置(品番28-231) 3,850円

長編成での動力車併結運転を考慮した増結セット用の動力装置として、キハ84-0番台用の動力ユニットに、トラクションタイヤなしの動力台車を組み込んだ製品がホビーセンターカトー取扱製品として発売されます。

 28-231-kiha85-powerunit (hobbycenterkato.com)

 

新製品の概要整理は以上です。当該新製品への関心が高まる中、200番台が2両入った4両増結セットBに人気が集中するのではないでしょうか。ASSYパーツで発売される200番台の車両だけ購入される方もあると思われます。参考までにASSYパーツの一覧表(PDF)のリンクを記載しておきます。

  [KATO] Assyパーツ情報 (usrfiles.com) https://77b0d97b-7c57-4af9-84ef-06189931aae3.usrfiles.com/ugd/cca703_b4d7a9b2cf334374859fac9c971b326b.pdf

 

 

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