産み分けによる着床前診断を少しでも検討しているなら、できるだけ早く採卵しておくに越したことはないです。

 

年齢に関する論文をいくつか。

 

 

 

⭐︎年齢によるモザイク減少の頻度の違いについて

 

2019〜2021年に17,366名の女性(18〜46歳)から得られた86,208個の胚盤胞を対象に、NGS法でPGTを実施しモザイク胚の頻度を検討しました(横断研究)。なお、モザイクは、低レベル(20~40%)と高レベル(40~80%)に分類しました。結果は下記の通り。全体として、モザイク現象は若年女性ほど高率で、モザイクの複雑さは加齢とともに増加しました。 実際に、42歳以上では36.7%で正常胚が見つかりませんが、モザイク胚を含めると移植可能な胚が52%増加します。 若年者においても、7.4%で正常胚が見つかりませんが、モザイク胚を含めると移植可能な胚が33%増加します。(*1)

 

 

 

 

⭐︎PGTA異数性が出やすくなる予想因子4つ

 

高齢場合、過去に異数性胚の流産回数が多い場合、切り替え時のエストロゲン値が低い、胚盤胞形成率が低い場合、これら4つが当てはまる場合には胚盤胞の異数性の確率が高くなると提言しています。これら4つのケースに当てはまる場合には異数性の可能性が高まるのでより一層PGT-Aを提案すべきです。(*2)

 

 

 

 

⭐︎女性の年齢別染色体異常頻度

 

2701名、3392周期から得られた15169個の胚盤胞のTE(胎盤になる部分)の染色体分析を行い、後方視的に検討しました。染色体異常率は下記の通り。

 

年齢 染色体異常率

22歳 44.4%(32/72)

23 40.8%(31/76)

24 27.8%(22/79)

25 44.4%(40/90)

26 24.6%(43/175)

27 27.1%(65/240)

28 22.7%(76/335)

29 20.7%(121/585)

30 23.2%(186/802)

31 31.0%(267/862)

32 31.1%(318/1023)

33 31.0%(411/1324)

34 31.3%(362/1156)

35 34.5%(422/1222)

36 35.5%(456/1284)

37 42.6%(491/1153)

38 47.9%(538/1123)

39 52.9%(533/1008)

40 58.2%(555/953)

41 68.9%(517/750)

42 75.1%(340/453)

43 83.4%(181/217)

44 88.2%(75/85)

45 84.3%(35/39)

46 72.1%(31/43)

47 100%(17/17)

48 100%(1/1)

49 100%(2/2)

 

染色体の異数性異常(数が多い、少ない)は26~34歳が最も低く、35歳以上で増加し、25歳以下でも増加しました。(*3)

 

 

⭐︎正常胚を移植しても着床しないのはなぜ?

 

正常胚を移植するときはどうしても過度に期待することかと思いますが、今回の大規模な結果を踏まえ、胚盤胞のグレードが悪い場合、38歳以上の場合、BMIが30を超えている場合、反復不成功の場合においては、正常胚を移植するとしてもその確率が下がることを予め認識しておくことが良いといえます。(*4)

 

年齢を重ねると採卵、培養成績が低下していくので、着床前診断のスタートが遅れれば遅れるほど採卵回数が増えより費用がかさみます。

1日でも若く採卵することが産み分けへの近道です。

 

 

 

(*1)リプロダクションクリニック東京

https://ameblo.jp/matsubooon/entry-12820563617.html

 

(*2)両角レディースクリニック

https://ameblo.jp/kazutom/entry-12823655036.html

 

(*3)リプロダクションクリニック東京

https://ameblo.jp/matsubooon/entry-12187274326.html

 

(*4)両角レディースクリニック

https://ameblo.jp/kazutom/entry-12820752573.html