義母の病院の診察が終わり


帰りの車の中で

今日も2人でガハハと笑い

感謝の言葉が飛び交い


あれはこういうことだったんだね、と

昔話しで盛り上がり


涙声で励まし合う


本当は体がキツいだろうに

お喋りが大好きな義母は、あれこれと話し出しては

笑っている


今日の数時間も、何十年分にも匹敵する

貴重な空間だった


義母がまだ健康な時に

こんなに話した事があっただろうか



癌宣告を受け

抗がん剤治療を始めて約1年半


病院から帰る車内で

「貴重な時間を、すまんね〜」

という言葉を何度聞いただろう


「私は本当に人生に悔いは無いよ。嘘じゃなく本心よ。私はやり切った感があるんだよ。満足満足!」


会うたびに、ふくよかだった姑の身体は痩せて

髪も抜け、見た目は変わったが


この言葉には強さが増す





義母は真っ直ぐで純粋で曇りのない人


若い頃は、その強さ、実直が故に

失敗したことも多々あったという


たしかに私も、義母が私に放った言葉で

何度か傷ついた事があるのも事実でして

(今ではそれこそ昔話です)




何かを人に押し付ける事もなく


誰よりも働き

美味しい手料理を沢山振る舞ってくれて


私が嫁いでから

その逞しくも優しい後ろ姿をずっと見てきた


奉仕する事が好きで

人が喜んでいる顔が好きで


それが自分の喜びとなり

また人に愛のパワーを降りまいている

(本人は無自覚)


1年半前にこの病気になって

無自覚ながらも、我慢していた事があったのだろうな…と、

「お義母さん、これからは何よりも誰よりも、お義母さん自身を慈しんであげてくださいね」


と、半ば懇願している私



病院から自宅に送り届けて

食卓で2人でコーヒーを飲んでいる時に


義母の後ろに

それはそれは逞しい仏像らしきものがふわ〜っと現れた


恥ずかしながら

諸事情で、仏像をあまり知らない私は


携帯で"仏像"と調べてみたら

【不動明王】の仏像にそっくりだった


まさに、ちょっとやそっとは動じない義母


その時私は、義母の【覚悟】が本物である事を悟った


その事を伝えると


「今までの事がちっぽけに見えてきた!世界が広がった気がする!視界が広くなった!」と


うっすら涙が見えるキラキラとした瞳で喜び

いつも以上に顔がパァ〜っと明るくなったのがわかった




数年前に、義母と一緒に行った旅行先で

何気に撮った写真を見返してみたら


青龍さんのような形のものが

この小川に写っている事に気づいた






少し分かりづらいですが


年明けに行った初詣の時に撮った写真に

黒龍さんらしき形をしたものも写っていたり


亡き義父の仏壇に手を合わせていると

「大丈夫じゃ」と聞こえてきたり


ここ1年を振り返ると

不思議な事が起こっている気がする



残された時間を

義母が「皆んな笑顔で楽しまんと損!損!人生楽しまにゃ〜」と今でもよく言うように

(言い方は悪いけど、病気の人に元気をもらっている私達なのです)


なるべく口角を上げて、笑顔でいっぱいの日々を

過ごしていこう


それが義母が治療を頑張れる一助になるのであれば

それが義母の喜びであれば




今日も読んで下さり

ありがとうございましたラブラブ