「◯◯さん(私の名前)、生きるって本当に大変やけど、自分がどこを、何を選ぶかで、楽しくなるか辛くなるかどっちかになるよね。
私は、どうせ生きるなら楽しく生きたい!と思って何十年も生きてきたから、お陰で、もうあの世からお呼びがかかりそうな今も、毎日が楽しいわ〜。ガハハハハッ」
もうすぐ自分の命の終わりがくる…と悟っている義母の真っ直ぐな言葉が、今日も私の心を震えさせた
今日は、診察の日
先週 入院加療をした後の結果を、先生から聞き
色んな数値が芳しくない事を知る
白血球を上げる注射をして下さる看護師さんから
「何か心配事や、困っている事はありませんか」
と聞かれた義母の答えは
「私しゃあ、なぁんの心配も困っている事もありません。
今逝っても、明日逝っても、自分の人生に全く悔いもありません。ガハハハハッ」
対応して下さっている看護師さんの目がまるまるとしている
「何の心配も悩みも無いんですか?😳」
「はい!ありませんよ。ただ、これから痛くなったら嫌だなーというのは少しあるけど、そうなったら我慢せんと仕方ないですもんね。ガハハハハーッ」
「看護師を30年やってるけど、そんな患者さん初めてです」
「そうですか??いや〜おられるでしょう〜ガハハハハッ」
「自分が癌と言われた時、どういう気持ちだったんですか?」
「ビックリしたけど、最初血便が出た時に、恥ずかしくて検査に行かなかったのが失敗やったな…
でも、そうなったからには何をどうこう言ってもしょうがない。腹をくくらんと…って思いましたよ」
「涙は出なかったのですか」
「出そうになったけど、すぐに、しょうがないかって思ったから、泣きはしませんでしたね〜」
「………すごい本当に初めてです…こういう方」
私は、義母のそばに何十年もいるからそれが義母の本心だと分かるが、多分、世間の方には理解されないだろう
(
義母の自宅に咲いている芝桜)
「◯◯さん(私の名前)、私が亡くなってお客さんが来たら、お湯のみと急須とお盆はここね」
「ここは田舎じゃから、葬儀後は自治会の班の人達に挨拶に回らないといかんのよ面倒かけるけど、◯◯(夫、息子)と一緒に、宜しく頼むわね」
「◯◯ちゃんに(ウチの中学生の末娘)に、ちゃんとした印鑑を作ってあげようと思ってたけど、まだ作ってなかったわ!今度作ってくるね!それが終わったら気持ち良くあの世に行けるわ」
いつもの如く、食卓で2人でコーヒーを飲みながら会話をする
義母はずーっと笑顔が絶えない
「今度の治療はキツかったわー!でも部屋の人たちが楽しかったから良かったー。感謝よ感謝〜」
と、大笑いをしながら話すので、今、目の前にいる人がもうすぐいなくなるかも知れないなんて、だれが思うだろうか
一緒に笑った後にふと我にかえると、髪の毛は抜け落ち、指先は真っ黒で、ふくよかだった体はちっちゃくなった義母の満面の笑顔にまた、心が揺さぶられた
「◯◯さん(私の名前)楽しくよ!楽しく!
どんな事があっても、楽しく愉快に生きんとね!ガハハハーっ」