これまでも何度かご紹介してきました「ビジャレアル指導改革期」、弊クラブ内では、私たち指導者や選手の「心の知能指数(Emotional Intelligence Quotient -EQ)」を高めるべき、との意見があがっていました。

 

心の知能指数とは「感情=エモーションのマネージメント力」を意味します。

 

というわけで、今日は「感情」についてのお話しです。

 

概して、スペインの人たちは、喜怒哀楽といった感情表現が大変豊かです。

 

しかし彼らは、学校でも職場でも、なかなか「感情教育」というものを受ける機会がありません。(日本でもそうですが)

 

さらに、私たちクラブの指導現場においては「勝った負けた」に一喜一憂したり、自分たちの雇用契約に影響を及ぼす「結果」に翻弄され、ときに過度な感情表現により、大切なことを見落としているという事例が多々起きている、との反省がありました。

 

前回のブログで、駅舎を通り過ぎる電車のお話をしましたが、イメージするのは舟でもいいそうなので、今日は舟で説明してみます。


※前回ブログ https://ameblo.jp/yuriko-saeki/entry-12507610955.html

 

 流れる河を、川岸から見ている自分をイメージしてください。上流から「感情丸」という小舟が流れてきました。あなたなら、その「感情丸」をどうしますか?


「感情丸」に飛び乗って自分も一緒に流れていく。


「感情丸」が下流に流れていくのを、そのまま岸から眺める。

 

ここでの学習は「感情に執着すると本質を見失う」よ。だから、「自分の感情と距離を取る」トレーニングをすることで、指導における本質の優先順位の付け方を間違わないようにしましょうね、ということ。

 

そこで、私たちが取り組んだのは、自分の感情を「賢く取り扱う」ことを学び、指導者として更に成長しよう!というものでした。

 

例えば、私は小さい頃から気が強く短気な性格で、親からもそれを指摘されながら育ちました。しかし、なかなか改善されぬまま私は大人になり、さらに「サッカー監督」という、組織の中で極度にアンタッチャブルなポストに就いて、ますます「怒りん坊」が助長されていた時期があります。

 

この私のケースを応用すると、「賢い感情の取り扱い方法」を学ぶことで、「イライラや怒り」に無駄に振り回されることなく、「怒り」を程良い加減で適時・適所に表現できるようになるだろう、というわけです。

 

ちなみに、この過程において「怒りはダメ」とか、「怒らないように」というメッセージは一切ありませんでした。おそらく、「怒り」も必要な「感情」のひとつである、という理解なのだと思います。

 

更に、私は個人的に、心理学スタッフから「アンガー・マネージメント(怒りのマネージメント)」なるもののトレーニングを受け、「思考」「感情」「アクション(言動)」の関係性を学び、「怒り」の仕組みを理解するという、大変貴重な学習をしました。


具体的にどのようなことをしたのか?は、企業秘密なので(笑)割愛しますが、いつかビジャレアルのヘッドオブコーチング部から得た、こうした沢山の学びを本にしてご紹介できたらいいなと思います。

 

そして、果たしてEQが高まったかどうかは「?」ですが、少なくとも私の場合、それまでかなりストレスフルな指導をしていた自分が解放され、意識を「選手」にフォーカスできるようになり、指導を心から楽しむ余裕が生まれたのは、間違いありません。

 

 

佐伯夕利子