梅の香りが春を感じさせる2月23日
【春の熱海アート遠足】を開催しました。
これまで熱海へのアート遠足は過去に3回開催しています。
まず、午前中にはMOA美術館へ。
この季節に観られる【尾形光琳・紅白梅図屏風】を鑑賞するためです。
この美術館は
ヘンリー・ムーアなどの野外彫刻や
豊臣秀吉が作った”黄金の茶室”の復元
尾形光琳が晩年に京で住んでいたという絵室(アトリエ)兼住居を
彼が遺した図面を元に復元した”光琳屋敷”など
見所が多岐にわたる上に
国宝や重要文化財の絵や書、焼き物なども多く収蔵しており
何度来ても
展示が少しずつ変わり、全く飽きることは無いのです。
前日までの予報では雨だと思っていましたが
薄曇りから次第に晴れ渡り、昼の頃にはとても良い天気に♪
まずは、春めく光に包まれた相模湾を眼下に眺めながら
ヘンリー・ムーアの「王と王妃」の前で
皆で写真を。
そしていよいよ国宝『紅白梅図屏風』へ。
江戸時代の”琳派”を代表する絵師・尾形光琳
彼の描いた『紅白梅図屏風』は
琳派芸術の中でも最高傑作と云われるもの
”光琳”と呼ばれるs字の水流は
渦巻文様が現代アートにも引けを取らないモダンさ
その水流を挟んで、白梅と紅梅が描かれていますが
左側の白梅は、円熟味を増した壮年期から老年の歌舞伎役者のように
その枝を静かにしならせ
対する右側の紅梅は、若々しく清々しさと漲るエネルギーを誇る
若い役者のように
天に向かって枝を伸ばす
その対比がとても見事で
ずっと観ていても飽きないほど。
この他にも、moa美術館リニューアル3周年記念として
野々村仁清作の最高傑作と云われる「色絵藤花文茶壺」
手鑑「翰墨城」の"国宝3点"が一度に拝観できます。
この美術館の特徴は
殆どが撮影可能だということ。
自分の目に焼き付けるだけでなく
画像にも残せるというのは、本当に贅沢な鑑賞の仕方だと思います。
尾形光琳の住居が復元された「光琳屋敷」や
茶室「一白庵」や「樵亭」などのある
”茶の庭”と名付けられた庭園は
今回は生憎、茶会によって完全貸切となり入ることはできませんでしたが
代わりに、もう1つの美術展である
『特集陳列 人間国宝 室瀬和美の世界』を観る機会に恵まれました。
室瀬和美氏は、人間国宝でもある漆芸家
3年前にリニューアルしたmoa美術館の正面玄関入り口にも
室瀬氏の手による赤と黒のコントラストが迫力のある美しさを醸す
巨大な漆塗りの扉があります。
入る側は”真っ黒”な漆塗りの扉ですが
中に入って振り向くと、そこには赤と黒の片身替の扉が!
この世界最大の漆塗りの扉は
桃山時代の華麗で大胆な美術が生んだ”片身替”という意匠が施されているのですね。
※画像はmoa美術館のhpより抜粋させて頂きました。
室瀬和美氏は
重要無形文化財である「蒔絵」の保持者として認定されおり
今回の特別展示では
蒔絵螺鈿硯箱であるや小箪笥の他に
見事な蒔絵螺鈿のハープなども、ただそれだけが置かれた部屋があり
ゆったりと観て廻ることができます。
また、美術館のリニューアルに伴い
ロビーエリア、展示スペースなどの設計を手がけた
現代美術作家 杉本博司氏による、モノクロームの写真の作品だけが展示されている部屋もあり
静かな時の流れを感じつつ、白黒の熱海の海を映し出した世界に
浸ることができます。
昨年6月の雨の時期とはまた違って
うららかな春の霞がかった景色の中でのmoa美術館
今回もまた、皆さまの感性を開いて頂く時間がもてたでしょうか。
【リニューアル3周年記念名品展 第1部 国宝「紅白梅図屏風」】展は
3月12日まで開催中です。
これをお読みくださっている皆様も是非
行かれてみてくださいね。
アート遠足~午後の部の開催レポは【その2】へと続きます。