フランソワ・オゾンは私の好きな映画監督である。
彼の作品を久々に続けて2作品観る機会に恵まれた。
その中の1つの作品
『婚約者の友人』
フランスとドイツ
戦争を挟んで出会った男と女
一方は、戦死した婚約者の両親と共に慎ましく暮らすドイツ人の若い女性
もう一方は、その婚約者の墓に詣る謎のフランス人の若い男性
婚約者のフランスでの友人だったと名乗る男性は
当初拒絶していた婚約者の男性の両親とも次第に打ち解け
彼女もその彼に少しずつ頑なだった心を開いていく
だがやがて
真実を告げる時がやってきた
その真実とは…
という物語
モノクロームの抑えた色調の中に浮かび上がる
若い男と女
感情の機微は
否が応にも時代の流れに翻弄され
悲劇は悲劇を
哀しみは悲しみを助長する
目と目で交わす本当の想い
破ることのできない約束
平穏を壊さないために吐く嘘
オゾン監督の描く女性はいつの時も
センシュアルで儚げであるが
芯の強さを瞳に滲ませる
この映画を観ながら
遠い過去の出来事を思い出した
出会いはいつもタイミング
運命は気まぐれでもあり
時に残酷でもある
あの時
絡めた指をほどかなかったら
あの夜
立ち去るあなたを追いかけていたら
わたしは今
どこにいて
何をしていたのだろう…?
この映画に流れる
ショパンの『ノクターン 第20番 遺作』が胸を打つ・・・
在りし日の
秘密の恋の思い出と重なり
眠れぬ一夜となった映画だった。
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