日本では家族の中で最も年少の者の目線に合わせて
お互い呼び合う習慣がありますよね。
例えば旦那のことを「お父さん」とか、娘のことを「お姉ちゃん」とか。
こっちでもそれは同じです。
あと、買い物とかレストランとか行ったとき、
店員さんとかお客さんに対して
「ちょっと!お姉さん!」
と呼ぶことあリますよね、それもおんなじなんです。
ていうか、それがもっとひどい。
女の人が「お姉さん」という時の韓国語は「おんに」といいます。
ちょっと高級な店とか行くと向こうも「お客様」って呼んでくるんですが、
わりとカジュアルな感じだとその「おんに」のオンパレード。
「これは今年流行りの色ですよ、おんに~」
「こっちの色の方が似合いますよ、おんに~」
「まけとくから今買わないと、おんに~」
「そんなんじゃ韓国の冬は越せないわよ、おんに~」
・・・・ただただ圧倒です。
韓国にはそこらじゅうにネイルサロンがあります。
こっちに来た当初友達もおらず、
手持無沙汰でどうしようもなかったので
「やれ、ネイルでも行ってみようかな」と思い立ちます。
学校の近くにもたくさんあるんですが、
何しろ友達がいないのでどこがいいのか全然わかりませんでした。
そこでたぶんどこでも似たようなもんだろうと踏んで、
駅の近くの1番分かりやすい店に行ったんです。
その店には3人の女の人がいましたが、
入った瞬間から3人が3人とも
「いらっしゃい、おんに~」
「1人なの、おんに~」
「こっち来て座って、おんに~」
「あれ、韓国語分からないの、おんに~」
「外国人なのね、おんに~」
「日本人なのおんに、ああ、やっぱりそうだと思ったわ、おんに~」
と、「おんに」をまくしたてたので
私は若干の恐怖さえ感じました。
今でも私の韓国語はひどいものですが、
その時には普通のスピードで話される韓国語に慣れていなかったこともあり
会話の展開の早さについていけず、
ずっと
「あ、あわわ、あわあわあわ・・・」
となる私を見て、そのお店の女の人たちは怪訝な顔をし、
少しだけゆっくり話し始めました。
店員:「おんにはどうして韓国にいるの?」
店員:「韓国語勉強してるのおんに、そうなんでしょ、おんに~」
私: 「は、はい・・・」
店員:「じゃあそこの学校にいるのね、おんに~」
私: 「は、はい・・・」
店員:「おんに、どの色がいいの?」
私: 「あ、あの・・・」
店員:「赤?ピンク?オレンジ?おんにが好きな色言わないと、おんに~」
私: 「や、あの・・・」
店員:「も~!!!おんには~!!早く言わないと、おんに~!!」
こんな調子でしたが仕事は早くて適格でした。
帰るときには
「頑張って韓国語勉強するのよ、おんに~」
と言って送り出してくれた店員さんたち。
2週間後、次は違う店に行っても良かったのですが、
新しい所に冒険に行くのがめんどくさかった私は、
おびえながらも結局同じ店に。
「いらっしゃい、おんに~」
「あれ、また来たのね、おんに~」
「韓国語は勉強したの、おんに~」
「あれ、このおんにほんとに勉強したのかしら、さぼったんでしょ、おんに~」
「勉強したのにどうしてまだそんなに韓国語が下手なのよ、おんに~」
と、今度も容赦ない「おんに」の襲撃に遭いますが、
やはり仕事は早くて適格。
う~~~ん・・・
悩みながらも結局その次も同じ店に。
「いらっしゃいおんに~」
「あれ、また来たの、おんに~」
「また一人で来たのね、おんに~」
「まだ友達ができないの、おんに~」
う~ん・・・・
悩みながらも結局回数を重ねます・・・
「いらっしゃいおんに~」
「ちょっと~じゅんこおんにが来たわよ~」
「彼氏はまだできないのね、じゅんこおんに~」
う~ん・・・・
行ってるうちにどうやら名前を覚えてくれたみたいです・・・
そうこうしているうちになんとなく常連になった私。
行くたびに
「韓国の男とは」
「韓国で友達を作るには」
「今このドラマが熱い!」
「俳優ならこいつだ!」
「韓国の悪い女とは」
などなどの講義をマシンガンのように「おんに」が飛び交う中受け続け、
そしてこの間行った時にはついにこのようなお言葉を賜ります。
店員:「ちょっとは韓国語上達したじゃないの、じゅんこおんに~」
私: 「わ、ほんとにそう思いますか?」
店員:「うん、初め来た時に比べたらほんとにうまくなったじゃない、おんに~。
ね、あんたもそう思うでしょ?」
店員:「うん、そうね、上手になったわ、じゅんこおんに~」
私: 「ふふふ」
なんだかんだで結局、ネイルはこれからもずっとその店かもしれません。
次行く時には何か差し入れを持って行こうかと考え中なのです。