水戸黄門漫遊記 3作 | 映画プログレ桜田淳子

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「水戸黄門漫遊記」1958年 大映

黄門様(中村鴈治郎)が旅先で悪代官こらしめる。だが、そんなお忍び旅も実はバレバレで、悪代官退治もご当地の殿様が打ったひと芝居。黄門様に気持ち良く世直しをして頂こうという気遣いだった。それを知った黄門様は怒り心頭、旅の道連れをニセ者の助さん(勝新太郎)格さんに乗り換える。かたやそんな裏事情など露とも知らないニセ者たちも、黄門様が本物であるとは思っていない。最後にはさらなるドンデン返しも待っている。実に複雑な、水戸黄門による水戸黄門のセルフ・パロディー。

 

「水戸黄門漫遊記 怪魔八尺坊主」1960年 第二東映

諸国漫遊中の黄門様(宇佐美淳)ご一行が、美女を誘拐しては天下を狙う悪代官の陰謀を暴くという比較的スタンダードな漫遊記だが、随所にコメディー要素が散りばめられている。特に冒頭、水戸黄門の芝居を見る黄門様(正体を隠した状態で)が、自分たちの描かれ方に苦虫を噛みつぶすシーンは笑える。ここでもセルフ・パロディーが。

 

「水戸黄門漫遊記」1969年 東宝

こちらの黄門様は森繁久彌演じるスケベな爺さん。生真面目ではあるものの、男の本性は隠しようも無い助さん(宝田明)格さん(高島忠夫)との掛け合いが笑える。女賭博師(草笛光子)のフトモモにみとれているうちにイカサマにひっかかり、身ぐるみはがされてしまうなど珍道中を続けるが、そんな一行の前に、ニセ者の黄門様と介さん格さんが現れて…。という、こちらはわりかしストレートに楽しめるセルフ・パロディー&コメディー作。

 

ちなみに、「控えおろう!この紋所が目に入らぬか」と印籠を掲げる見せ場は、東野英治郎のテレビ版(ナショナル劇場版)から。上記1958年版では、名乗っただけで受け入れられたりとわりかしイージー。1969年版ではあごヒゲが黄門様のアイデンティティで、それを剃り落とした黄門様は本物と認めてもらえない。