息子の卒業に『凸凹親子道の子育てを振り返る』、の記 | ロンドン郊外で日本語教師

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試行錯誤四苦八苦しながらぼちぼち教え始めました。

昨夏から書き溜めていたもの、完成させての放出です

 

2023年・7月に、息子の大学院卒業式🎓がありました!

👨🏻‍🎓

イギリスの大学院は、卒業試験が9月なので、

秋に試験後卒業が確定して、卒業式は翌年、

と言う、面白いシステムです。

 

なので、息子が実質卒業したのは、一昨年ではありましたが、

卒業式で、ようやく区切りがついた感じです。

 

 

 

 

 

 

大学の卒業式はコロナで中止・延期になり、

延期した分、翌年の1月だったか2月だったか、

変な時期にありましたので、

息子は既に大学院の勉強と

当時試験の真っ最中か何かで

出席出来ず。。。

 

 

 

まぁ、息子よ。。。

思えば遠くに来たもんだ。。。

 

 

幼い頃は、

言語発達遅滞で、スピーチセラピーに通い、

『最初はマカトンランゲージを教えます』

と言われ、私も一緒にマカトンを習った所から始まった。

日本でも導入されたみたいですね、

マカトン法と言う名前のようです。

 

 

私は、息子の言語の発達に

余りにも注力してしまったのか、

ある段階に到達したら、

次はコレ!、その次はコレ!と、

お尻を叩いて頑張らせる事しか

して来なかったような気がする。。。

 

自分の記憶の中に、

息子の気持ちを推し測ったり、

言語発達以外の発達段階を

喜んだりする余裕が、

私にあっただろうか?

私には無かったな、

と、思う。

 

息子の中で

充分に可愛がられて来た

と言う記憶が残っているのだろうか?

時々そんな事を考えてしまう。。。

 

 

それは、息子に申し訳なかったし、

私は、確かに彼の幼い頃の成長を

色々と見逃していたのだろうと思う。

訓育の為に、『出来ない事』しか

注目せず、数えて来なかったように思う。

 

…しか、と言うのも、

まぁオーバーかも知れないけれど

可愛い時期に、

訓育ばかりに目が眩み、

勿体無いことをした、

と、

今、つくづく思う

 

この頃は、

性格悪い姑もまだまだ元気で、

自分が溺愛している長男の息子に

『障害』があると言う事で

 

『ちゃんとした子供じゃなくて、私の長男は何て可哀想。

さっさと離婚して、母親側に引き取って貰って

新しく誰かと結婚したらいい。』

と、夫の弟妹に言っている事を知り、

怒り心頭に発するとはこの事か?

と思ったモノだった。

**後に息子のアスペルガー診断後に、色々と勉強し、

夫の母親はもしかすると発達障害?と思うに至った次第です。

 

それが余計に、

この子をちゃんと話せる様にしなければ!

と、益々息子のお尻叩きに余念が無くなった

、のかも知れないなぁ

 

まぁ、いずれも私個人の意地とか

言い訳でしかないんだけれど…

 

 

 

小さい時から、

好きなモノに対する集中力は凄くて、

男の子なんてこんなもんだろ、

と思っていたし、

『11歳➕』と言う英国の全国?試験も、

(息子は13歳で卒業する学校に通っていたので真面目に勉強した訳では無かったが、)

とんでもない上位では無いけれど、

平均は上回っていたし、

13歳で、セカンダリースクールを受験する時は、

面接試験にも臨めて、合格も勝ち取り、

まだちょっと年齢相応の語彙力が足りないようだが、

ようやくここまで来た、と言う思いだった。

 

のだが。。。

 

セカンダリースクールと言う新しい環境下、

幼い頃から自分を知っている友人と離れ、

自分自身も思春期真っ只中

周囲の新しい友人も、勿論、思春期真っ只中。

 

新しい環境に全く慣れない、

友人関係が築けない、

授業に集中しない、

 

癇癪を起こしたり、

喧嘩したり、

いじめられるようになった

 

私が学校から呼び出される事が

段々多くなって行った

呼び出しの中には、

息子を迎えに来て自宅に連れ帰り

落ち着かせて欲しい

と言うものも多かった。

 

いじめっ子に関しては

学校の対応は素晴らしかったので

心配はしていなかったのであるが、、、

 

当時、私は、恐らく、

ちょっとパニック障害になりかけ⁇

だったのかなぁ

電話が鳴ると、心臓がバクバクして、

電話に出ると、吃ってしまうようになった

 

まぁ、私の事はどうでも良い

 

息子の行動を心配した学校が、

NHSに相談し、青少年の精神科医に相談

息子への面談、

親への面談、

息子の学校での行動を一日中陰から観察、

などを数回繰り返して、

出た診断結果が、

 

ASD : 自閉症スペクトラム

の中の、

当時はまだそこに入っていた

アスペルガー症候群

だった。

 

診断結果を聞いて、学校も親も、

あぁ、そうか、

と、何故か胸を撫で下ろすような、

ホッ😮‍💨とするような気持ちだったのを覚えている。

 

息子は、

この頃GCSEと言う、

英国の中等教育修了全国試験とでも言おうか、

それを受ける学年だったのだが、

診断前で、もう何しろ、

色々と問題山積みだったし

 

英国の学校の試験は、

ハリー・ポッターの様な大ホールで行うので、

その大きなホールが怖かったのか、

息子は、不安症を発症し、

試験用紙が配られるとフリーズしてしまう、

息子の表現では、

頭の中も真っ白

問題用紙も真っ白に見える

との事。。。

 

よって

試験結果は散々。。。

 

息子の成績では、通っていた学校の

次の段階の課程:6フォームに、

幾ら内部進学でも入れず、、、

 

1年やり直すか、

と言う事もあったのだが、結局は

13歳から通ったこの学校を、出る事になった。

 

この学校で、CCF:Combined Cadet Force、

**英国国防省の全面支援の中、軍事教練に励む中、

健康な身体育成、リーダーシップ養成などが目的

に出会い、

彼のアスペルガー特徴で苦手な人間関係も、

キッチリとした階級制度、命令系統、命令事項、

期待される言動、行動が、兎に角、明確

その活動が、息子には

とても心地良かったのであろう、

彼はCCF活動に参加する為に

学校に行くのが楽しみだった、

と言っても過言ではないだろう。

 

友人関係を築くのは難しい、とされるが、

彼はCCFを通じて大事な友人(先輩)も出来て、

先日、彼の結婚式に招待され、

ブラックタイのフォーマルなパーティーを

息子は初めて経験して来た。

 

もとい。。

息子のセカンダリースクール以降の話

 

この頃には、息子の言語発達は、

語彙力が年齢平均を大きく上回るようになり、

『言語障害』の状態からは抜け出せた。

 

今じゃ、『少し黙っててくれないか?』

と思うほどのお喋りと

何だかゲーム配信やお喋り配信など、

ストリーミングもしているので、

いや、もう、本当に、良かった!!

 

歴代のスピーチセラピストの方々、

そして勿論

息子の頑張りに、

心からの感謝と称賛を送るのみです。

👏🏼👏🏼👏🏼

 

 

 

息子は新しい環境が苦手、

大人数の環境が苦手、

と言う所から、

私が探して来たのは、

一対一の授業をしてくれる学校。

 

コモンルームで友人や先生と交わえるので、

たった1人、と言う事でもなく、

楽しい行事も企画してくれる学校だった。

 

この学校はセントラルロンドンにあり、

自宅から地下鉄を一度乗り換えて通学する。

この通学が、彼のアスペルガー症候群のTraits(特徴)を、

随分緩和してくれたと思う。

 

何しろ突発的にいろいろと起こるからである。

特に通勤/通学時の朝…。

信号の故障で電車が動かなくなる、

電車を下ろされ、

他の交通手段に乗り換えを強制される、

降車駅が駅員不足だったり何かの事情で封鎖、

強制的に電車はその駅を乗り越し、

乗客は代替え手段を選ばなくてはいけない、

などなど。。。

 

自分の予定通りに物事が進まない事、

突発的な変化に対応する事、

それらがとても苦手で、パニックを起こす要因でもあった。

こんな彼のアスペルガー症候群の特徴の一つも、

『遅刻するのが兎に角イヤだ!』と言う、

これまた彼のこだわりを突き通すべく、

彼自身が自分の内側と大いなる葛藤を、

一人で地下鉄の中で幾度となく経験していたのだろう。

 

 

そこで、息子はGCSEを受け直し、

大学進学を狙える程の成績は残せたのであった。

ただ、自分が好きな科目とそうじゃない科目に対する

息子の集中力や理解度が全く違うので💦

試験対策上、この科目を取った方が便利、と言う

『常識』と説得は、息子には通じない。。。

 

そこは大学進学準備課程の6フォームに移っても同じ。。。

 

また、息子のアスペルガーの特徴なのか、

『試験問題の意味』、『問題の意図』

の通りに、自分の知識を切り貼りするのが難しい、

と言う難問があった。

 

彼にとっては、

彼の知識はどれも取捨選択すべきではなく、

どれも繋がっていて、

何処かで切ってこの部分だけ答える、

そう言うモノじゃないらしく、、、

 

息子が書き出す長文回答の中に、

正答は書かれてはいるのだが、

ズバリ、そこを突いていると言う感じではない、

とでも言おうか、

試験問題に微妙に答えていない、

点数が取りにくい、

そう言う形になってしまう。。。

 

彼はこの頃、歴史を勉強したい、と言っていたのだが、

上記の理由から、どうも、彼は文系型試験に向いていないのではないか?

いや、

そもそも論として、彼は文系なのか?

 

この学校は面倒見は物凄く良い学校だったのだが、

結局、結論として、

Aレベル

(既に日本の大学の教養課程レベル位までは終えているようなレベルの内容)

と言う大学入試全国試験の、

受験科目として選ぶ科目を変更しよう、

と言う事に落ち着いた。

最近の英国は教育制度がコロコロ変わる所があるのだが、

息子の時代の制度では、Aレベルは1年目と2年目と、2回試験を受けた。

1年目を受けてから、科目変更、と言うのは

いろいろと難しく。。。

話し合いをしている内に、

学校側が難色を示して来た。

 

 

では、ここで進学を諦めて就職か?

然し乍ら

彼のアスペルガーのコンディションを考えると、

『この状態で社会に出る』事は、

この頃の息子の社会への適応性を考えると

どうにも考え難く、、、

 

本人も大学進学したいと希望していたので、

論文を書くAレベル試験ではなく、

大学入学資格をくれる

別のルートを模索する事になった。

 

だけれど、この学校でも

息子は、長きに渡る友情を育んでいる友人が出来た。

この学校が参加した、地域の他の学校とのイベントで、

息子は初恋の彼女にも出会い、

まぁ、その彼女とはくっついたり離れたり

今でもなんだかんだで一緒にいる。

関係性はよく分からないけれど💦

 

そう言う付き合い方も、

息子を理解して好意を持って、

永年付き合ってくれる友人を作れている事、

それは、親として本当にとてもうれしい。

 

 

さてさて。。。

息子が探して来た別ルート。

 

それは、

GCSEの後に大学進学せず就職したけれど

矢張り学位を取りたい、

とか

大学で学位を取りその道で職を得たが、

全然違う分野でまた大学に戻りたい

と言う人々を受け入れる、

日本で言うと専門学校と予備校を

足して2で割ったような、

そう言うカレッジの制度があり、

理系の道を進む事に納得した息子は、

今度は自分でいろいろカレッジを探して来て、

入学試験を其々個別に受けて来て、

そこは見事全部合格となった。

 

特に数学は何処を受けても満点に近かったらしく、

Impressive!などと、

どのカレッジの面接官にも言って貰えた事は、

やり直しの道ばかり歩んで来た彼に、

あぁ、この道を進んでいいのか、と

大きな自信を与えてくれたようだった。

 

たくさんの入学許可を貰って、

自分自身で選べる選択肢がたくさんある!状態に

チョット天狗👺気分であった息子だったのだが、

彼は自分で選んだカレッジに通い、

そこで必要単位も無事修得し、

大学入学資格を得て

翌年、晴れて大学生となった。

 

自宅から通えない距離では無かったが、

イギリスの信用性低い交通機関と、

息子自身の希望もあって、

大学の寮で一人暮らしも始めた。

 

大学1年生の試験も無事に通って、

2年目。

1年間をやり通した彼が、奇妙な自信を身につけ、

「興味ないモノは手をつけない・先延ばしにする」

と言う彼のアスペルガー症候群のtraitを

此処で遺憾無く発揮していたことを、

1科目の単位を落とした事で知る。

しかも、あろう事か、その1科目は、

落としたら次の学年に進めない、

と言う科目だったので、

ハイ、留年決定。。。

 

他の科目は全部単位取ってたので、

留年した一年は1科目だけ履修。

 

それでも、他の教科を忘れちゃうからと、

他のも講義だけは出ていた模様。

 

何だか一歩進んで二歩下がる、

的な人生だなぁ、

と思いつつ、

まぁこれが彼のペースか…

 

そして、翌年無事進級し、

さぁまた全科目頑張れよ!の学年、

試験を目前に控えた3月

COVIDのロックダウン

 

その後、

理系で実験がある彼の学部学科は

大学でに授業が再開したのだけれど、

試験はオンラインで

24時間体制のOpen Book方式。

 

息子の試験不安症が

完全に払拭されていない事を考えると、

息子の試験に関しては

パンデミックによる試験形式の変化は

ラッキーだったとしか言いようがない。

 

そして、無事に大学の最終学年も

何とか終えそうな夏。

その後の進路に関する話し合いの中、

親としては、

『息子は、自分のコンディションと

自分にやりたいと思う事と

自分の適性を鑑みる事が

出来ていないのではないか?』

と思うに至る。

 

アスペルガーの特徴の一つに、

自分を客観視出来ない

と言うのがある。

正にコレだ。

 

話し合いが続く中、

息子が大学院に行くと言い出した。

 

ひょえ〜、、、💦

これまでずっと

アカデミックに優れている

とは言い難かった息子だが、

大丈夫だろうか?

 

大学の最終試験結果が出て、

息子の学位のレベルが出た!

 

思いの外、良かったらしく、

学位略称の横に(Hons):優等位

を入れられる事となり、

大学院選択の幅も広がった。

 

その後、幸いにも、

彼が第一目標にしていた

UCL入学が許された!

 

いやぁ、親としてもこれはビックリ。。。

 

よくやった!

と思うより先に、

大丈夫だろうか?

と、不安が先に立つ。

 

そんな親の心子知らずで、

息子は(精神的に)直ぐ天狗👺となり、

そしてウサギ(と亀、のウサギ)となる。

自分は出来ると、高を括って

怠惰になるワケだ

 

この年齢の子供に対して

あぁしろこうしろとも言いたか無いが、

言わずに居られず、口喧嘩も数知れず。。。

 

何しろ自分を客観視する事が苦手

と言うのは、

周囲の中で

自分の立ち位置が分からない

クラスの中で、自分が

遅れているのか、進んでいるのか、

ならば何をしなくてはいけないか、

そこに考えが行ってくれてないんじゃないか?

 

結局、試験では1科目再試、となり・・・

 

その再試が命取り、で

彼は卒業資格は取ったものの、

次のステップ:大学院の差配で研修員登録

の締切を逃してしまった・・・

 

まぁ、大学院側が、再試の合否結果を出すのが

手違いで大幅に遅れ、息子はその間ず〜〜っと待たされていた2022の秋。

 

待っている間に、日本旅行など行って来た訳だが。。。

 

 

さて、この先どうするの?!?!?!

 

と、親としては結構パニック・・・

 

親子で頭を抱えていたら、

良い知らせも・・・

 

息子は、

何しろ好きな事に対する集中力はハンパない

そこは変化無いので、

卒業論文は、思ってもみない高評価!!

 

学術研究誌に掲載される事になり、

息子はテューターの力を借りて

掲載に適した言語に一部書き直したり、

卒業試験後も忙しい時間を過ごす事になった。

 

その後、息子の卒論の研究を、

教授が更に臨床に実施するべく新たな研究チームを作った、

とかで、息子は、

博士課程にどうか?

と誘われたものの、

基本、勉強自体は好きじゃない、

んだそうで。。。

ま、それは見てればわかる・・・

 

しかも、博士課程となると、

そりゃもう渾身の覚悟のいる勉強ですからね・・・

 

息子は速攻でお断りしていました💦

 

今後、彼の卒論がきっかけになって生まれた研究によって

臨床で使われ、多くの人が恩恵を受けるようになると

自分も嬉しい、とは言っておりました。

 

そして、息子のテューターが、

これまた世話好きな善い人でね

 

息子が研修員の登録を逃した要因に、

大学院側の手違いで再試の合否結果が大幅に遅れたんだから、

(第一には、最初から勉強して再試じゃなければ、と言うのは否めない!)

と、息子を自分の元で、アシスタントとして、

働かせて(研修させて)くれる事になった。

 

無給だけれども、そこは研修員となっても同様だから、

新しく人間関係を築くのではなく、

親しいテューターの元、勝手知ったる場所で

息子は研修員として、働く事になり、

取り敢えず、行き先が決まってやれやれ・・・

と、なったのでした。

 

 

まぁ、そんなこんなの凸凹親子道でしたが、、、

 

ようやく、すべての学業を終えました。。。

子育て一段落

と言うところですが・・・

 

 

父親であるところの夫にも大感謝

 

何しろ、私は姉妹で育ち、男の子の育つ過程が分からない

この地で育つ過程も常識もシステムも分からない

 

なので、息子が思春期を迎えた頃から、

夫の父親としての役割は

非常に重くなっていったと思う。

夫は欧米文化の人だから、

子供がある一定の年齢に達すると、結構対等な物言いと態度で、

そこはちょっと私の知っている親子関係と

少し違うし、真似出来なかったと思う。

なので、感謝しかないです。

 

夫にも、多大な感謝、感謝!!

 

 

まぁ、それでも

息子のコンディションを考えると、

 

職場の人間関係、とか

お金の遣い方、とか、

他人を信用しすぎる、アスペルガーのTraitで

変な詐欺に引っ掛からないか、

とか、

 

心配は絶えませんが・・・

 

 

とにかく、

卒業、良かった!!

 

息子よ、おめでとう!!