これ、なんの遺跡だと思いますか?

よーく見ると、ローマ法王のしるし、
法王の冠とカギのついた紋章があります。



ローマ法王PIUSⅥ=ピオ6世が作らせた、
ローマへ水を供給するための取水口なんです
ブラッチャーノ湖のアングイッラーラ・サバツィアにあります。
1787年に作られたもので、彼はこれを「水の城」と呼んだそう。

もともと、この水道の基礎になったのは、
109年に作られたローマ水道「トラヤヌス水道」でした。
537~538年のゴート人によるローマ略奪によって破壊されるまで使っていたそうです。
詳しくはこちらの記事からどうぞ。
ローマ水道「トラヤヌス水道」とヴィカレッロ
http://ameblo.jp/yumitomo-roma/entry-12116791505.html

その後、ローマ都市部にドンドン人が増え、
さらに、町中に噴水を作ったりしたもんだから、
水がもっと必要になってきたんですね。

ボルゲーゼ家出身の法王PAOLOⅤ=パオロ5世(1605~21年)によって、
壊れていたトラヤヌス水道を修復、もう1度ローマ水道として復活されました。
それが「パオラ水道」です。
水はAcquaで女性名詞だから、Paoloも末尾を「a」と女性形に変化、
パオロ→パオラです・・・ややこしや




サン・ピエトロ広場の双子の噴水。

サン・ピエトロ広場のリモデルを依頼されたベルニーニが、
双子の噴水を作ることを決定、噴水ができた時点で、水不足が決定的に。
水圧が足りなくて、噴水の水がぜーんぜん勢いよく出なかったらしい
相当かっこ悪いですよねー。

上の写真、手前がベルニーニのリモデルにより後から作られたもの。
オベリスクを挟んで奥にあるのは、もともと存在していた噴水。
こちらの記事で紹介してます。
ジュビレオ&クリスマスモードに突入なヴァチカン
http://ameblo.jp/yumitomo-roma/entry-12101771148.html





後からできた噴水には「PAULUSⅥ=パウルス=パウロ6世」の文字がかろうじて見えるけど、なんでだろー。
調べてみたら在位1963~78年とけっこう最近です。
補修でもしたのかなぁ。



この双子の噴水に水を供給するため、さらなる水圧の確保が必要になり、
水量を増やす一大プロジェクトとして、ブラッチャーノ湖から直接
水を取水して、パオラ水道に流し込み、水圧アップを図ろうと。

パオロ5世が中途半端に済ませちゃったせいで
なんだかあんまり役に立たなかったパオラ水道。
アレッサンドロ7世(1655~67年)のころには、再度課題として浮上、
ピオ6世(1775~99年)の時代になってやっと実現されたんですね。

そんなわけで、今でもローマの水事情を担う一翼として、
ピオ6世の「水の城」は大活躍してます。

手前にあるコンクリートの建物にはACEAの文字が。



現在では、環境エネルギー公社みたいなところが管理してます。
ローマの水道供給網に何らかの問題が発生したら、
まさにここから取水されたブラッチャーノ湖の水がローマ市内の飲み水になるんですよ。

ブラッチャーノ湖の水がきれいなのは、そんな事情もあってことらしいです

8月になったし、これから毎日、午後は湖水浴かな