息子がウィーン少年合唱団を卒業してから、約1年が経ちました。
息子は生後6ヶ月から歌い始め、幼稚園の頃も生まれつき天使のような声でした。
しかし、オーストリアは、多くの歴史に残る音楽家を輩出した国であるにも関わらず、公立の保育所や学校の音楽教育レベルは惨憺たるものです。
だから私は
「このまま普通の学校に行って音痴になるのはもったいないな~」
と思っていました。
息子が8歳の時に、ウィーン少年合唱団小学校のミュージカルを観にいって、とても気に入ったらしく
「もう1回観にいきたい」
と言うので、私は
「じゃあ、観にいくんじゃなくて、自分が出たら?」
と息子に勧めたのです。
ウィーン合唱団は、ウィーンでは随時オーディションをやっています。
私がオーディションの選曲をして、私が伴奏してうちで練習しました。
選曲は声に合うというポイントだけでなく、当時息子はお調子者だったので、「歌いながら踊り始めない曲」というのも重要ポイントでした!
2週間ほど練習してオーディションに行ったら、合格して、小学校へ編入しました。
もちろん、試してみて、合わなかったらいつでもやめていいよということにして。
ウィーン少年合唱団自体は中学生なので、小学校から中学校に上がるときに、入団式があります。
入団式では、校長先生から1人1人に制服の授与があります。
入団式が5年前の5月25日。
そして、私の子育てブランク後の音楽活動本格再開のコンサート出演もブルガリアで5年前の5月25日、奇しくも同じ日でした。
私がちょっと背中を押して入ったウィーン少年合唱団だったのに、入団式と私のコンサート出演が重なってしまったのです。
コンサートに出演していいどうか、息子に聞いてみたら、息子はポロっと涙をこぼして
「(ブルガリアに)行っていいよ」
と答えてくれました。
こんな良いお話は1度断ったらもう無いかもしれないな~と思って、息子に申し訳ない気持ちだったけど、コンサート出演をお受けしました。
その時に出演させていただいたブルガリア国立スタラ・ザゴラ歌劇場でのオペラ・ガラコンサートはこちら。
息子は入団後、さらに上達し、2年生の頃にはソロも歌わせていただくようになりました。
そして、アジア、ヨーロッパ、アメリカツアーに行き、親では連れて行ってあげられないほど世界を旅しました。
在学中は、親が息子の写真をSNSに投稿してはいけない契約でした。
プロの合唱団だから、広報の関係でそういう決まりみたいです。
でもオフィシャルなポスターをシェアするのはOKでした。
この中に息子も映ってます。
フフフ。
来年から息子はメインのソロになるとカペルマイスター(合唱団の指揮者兼ピアニスト)がおっしゃった翌月からコロナが始まり、全てのツアーがキャンセルになりました。
息子と私が1番楽しみにしていた日本ツアーもキャンセル。
日本ツアーに行けなかったことを息子は今も残念に思ってます。
そして、ロックダウン中に息子は変声期になり、あっと言う間にソプラノからアルトになりました。
つまり、もうソプラノソロは無いということ。
親としてはこれはとても残念だったのですが、声変わりしたことを本人は残念に思ってなかったみたいだったので、それが救いだし、私も残念がらないようにしています。
卒業前の最後の1年間は、コロナ規制が緩和され、オーストリア国内のツアーが再開されました。
そして、息子の最後のコンサートも卒業式も、私は参加することが出来ました。
最後のコンサートで卒業生がアンコールで前へ
合唱団には専門の衣装部が入っていて、1人ずつサイズを測ってユニフォームが調節されます。
息子のユニフォームは在学中に何度も大きいサイズに変わりました。
ウィーン少年合唱団の上には高校の部もあるのですが、これは混声合唱団でウィーン少年合唱団ではありません。
息子は今は歌よりもピアノに興味があって、別のビジネス系の高校に行くことを自分で決めました。
わずか14歳にして、高校でビジネスの勉強をするから、ピアノも習いたい、そうすれば将来就職にも困らないからと、自分で考えたのです!
息子が成長して自立した考えを持っていて、私はとても感心しました。
親がとやかく口出す必要はなく、親にできるのは息子をサポートしてあげることだな~と思います。
息子はシャイな部分もあって、学校を変わって友達ができるか心配だったのですが、新しい学校で友達もでき、ほっといてもコンピューターゲームの合間にちゃんと勉強もしているみたいです。
合唱団の時の友達とも今も繋がっていて、一緒に出掛けたり、うちに遊びに来てもらったりしています。
先週はもと合唱団の男の子がうちに遊びに来て、息子と2人でラフマニノフのピアノ連弾曲を初見で弾いてました。
そんな高校生の男の子の遊び方、なかなか無いですよね~。
息子は合唱団で世界中を旅して一生思い出に残る素晴らしい経験が出来て、
一生の良い友達が出来て良かったな~と思ってます。
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