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お菓子作りA to Z  カップケーキ

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”T” 

テンパリングって何?

 

今回はテンパリングの最後の回として、

なぜチョコレートは

「くちどけ」が良いのかについて

書こうと思います。

 

で、

チョコレートの原料となるカカオと

クーベルチュールチョコレートのお話を

書いてきましたが、

今回は「食べる」という点から

見ていこうと思います。

 

例えば「食べる」ものとして

「チョコレート」というものを見た時に、

チョコレートは”嗜好品”です。

昔はお薬(滋養強壮等)として

捉えられていた時代もありますが、

現代では美味しく好まれる嗜好品で、

食べなくても、もちろん生きていけます。

 

でも、”生きる”という点から私たちを見ると、

私たちは自分の命を維持するためには

何かしら食べる(摂取)という行為が

不可欠となります。

食べることで、生きるエネルギーを

生み出し続ける必要があるのです。

 

こののことを、

ちょっと理系に書くと

下記のようになります。

 

ちょっと硬いですが、

読んでみましょう。真顔

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

ヒトに限らず、

あらゆる生物は

”外界からの物質の摂取→

代謝→不要物の排泄”

という過程により

エネルギーを獲得し、

生命を維持している。

この現象を栄養と呼ぶ

(引用:基礎栄養学p1 第一出版)

・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・とあります。

 

 

はい。

 

分かるようで分からないんですが

ここでまず知ってもらいたいのが

『栄養』って

”現象”のことなんですね。

 

なので、生きるために

”栄養を営む”ことが必要になるのです。

 

車でも、動かすにはガソリンが必要ですが、

ヒトも”栄養を営む”には

動力となる燃料が必要で、

その燃料が「食物」となります。

 

・・でも、食物(例えばお肉)を食べても、

それがそのまま体のお肉に

ダイレクトに変化するわけではなく、

一旦、その食品の「成分」まで分解されて、

その成分中の必要なものが体内を巡って

体を作っていくことになります。

そして不要なものは排泄されます。

 

もうちょっと分かりやすく

ブロックを使ってイメージしてみましょう。

 

ブロックは食べられないけどねねー

 

食べ物をレゴブロックでイメージして、

ものすごくざっくりした書き方ですが

こんな感じになります。

 

 

☆人間は食べ物を口に入れて

⇒〖外界からの物質の摂取〗

かみ砕くことで大きなパーツで分解され、

 

大きなパーツはさらに

胃や十二指腸と、様々な体内酵素で

どんどん小さなパーツに分解されていって、

⇒〖代謝〗

↓さらに小さく

小腸にたどり着く頃にはもっと小さく

ここでさらに分解されて

食物に含まれていた成分

↓こんな感じに分かれていきます。

*いずれもあくまでもイメージです。

 

この成分が”栄養素”と呼ばれるものです。

 

栄養素に何があるのかと言うと、

それが、一度は聞いたことのある

●糖質

●脂質

●たんぱく質です。

 

この3つの栄養素

「三大栄養素」と呼ばれます。

ここに

ビタミン、無機質が加わって

「五大栄養素」

とも呼ばれます。

 

・・で、

私たちの身体は1つのボディにしか見えないけど、

そのボディーは、実は見えない約60兆個の

”細胞”からできています。

 

細胞が働いてくれるために、

ヒトは外界から食物を摂取し、

摂取した食物を構成していた栄養素を利用し、

利用しながら循環的な代謝が行われることで

”栄養を営む”ことが続けられ、

それによって生命活動が続きます。

 

 

ここまでをもっと短く示すと↓こうなります。

 

①食物を摂取すると

 

食物を構成していた栄養素となり

それらの代謝によって

エネルギーが生まれて

身体が作られていく。

みたいな感じです。

 

 

身体は食べるものでできている

と言われるのはそういうことで、

このことからもヒトは

【従属栄養生物】

と呼ばれます。

なのでヒトは栄養を育むために

食品を摂取します。・・というわけです。

 

 

一方

ヒトが「従属栄養生物」なのに対して

【独立栄養生物】と呼ばれるものがあり、

それが植物です。

チョコレートの原料であるカカオも

植物ですね。

ショック長かった

 

ヒトが外界の食物を摂取するのに対して、

植物は外界から、水や二酸化炭素

ミネラルといった無機質を取り入れて

光合成”等によって

植物自身の体内で

栄養素を作り出したりと、

成長するための機能が備わっています。

 

その食物の育つ土地や環境、

周りの自然によって変わるのも

そんな理由からです。

 

近くに花畑があれば、

その花の香りもまた影響しあったり、

土壌のpHで花や実の色合いが変わったり、

カカオの木も同様に

熱帯の環境で生き抜くために、

栄養素の構成も独自に

成長を遂げてきたわけです。

 

カカオニブの栄養素の構成は

半分位が油脂分(脂質)で

次いで20%位が糖質

(その多くが食物繊維(不溶性の糖質))

タンパク質は脂質より5%位少ない割合です。

 

チョコレートを考える時に、

何が一番大きな存在感を示すのかと言えば、

やはり一番構成割合の高い、

この油脂=カカオ脂なのです。

 

今回のお題である「くちどけ」も

やはりカカオ脂の影響を一番受けるわけです。

 

 

そもそも油脂って、

どういう状態で存在しているのかと言うと、

単純に言うと脂肪酸というものが

鎖のようにズラズラーっと連なったような形をしています。

 

身近な食品で油脂を見てみると、

バターでは10程の脂肪酸で構成され、

常温で液体のサラダ油などは18程

魚の油脂では20とか22程連なります。

そして、連なり方も複雑化します。

 

ところが、チョコレート原料のカカオは、

3つの脂肪酸がカカオ脂のほぼ全体を占めていて、

当然ながらその影響をすごく受けるのです。

 

少ないと影響をすごく受けるって

どういうことかというと、例えば、

気の合う個性の強い3人が集まっている感じで、

気の合っている時には結束力強く

一見まとまっているように見えます。

この3人を

ステアリン君

パルミチン君

オレイン君

としましょう。

 

ところが、

元々それぞれ個性が強いため、

良い形で落ち着くには、

それぞれの心の型を整えておかないと

途端にバラバラになりかねない・・

そして

一旦崩れてしまうと、ほころびが隠せない

そんな感じです。

 

三人が仲良く結束するには、

お風呂なんでいかがでしょう?

温まりながら結束していくのは効果的なはず。

 

・ステアリン君は

すごく熱いお風呂が好き

・パルミチン君は

それよりちょっとだけ低いのが好き

・オレイン君は

冷風呂が好き

 

でも、

みんなバラバラに入って、はい終わり!

・・では意味がないので、

それぞれの好みの温度を経験して、

気持ちを合わせてみよーぜとなりました。

そして途中、もし3人の間に

水を差すようなやつがいれば終わりな!

・・的なぼけー

 

最初はステアリン君に合わせて温度高め

次は温まった身体を冷風呂でクールダウンし、

その後パルミチン君の好きな温度まで

また徐々に上げてみたら、

まじ、いいじゃん♪・・となったとさ。

 

 

はい。

これがチョコレートで言えば

「テンパリング」

ということなのです。

 

クーベルチュールチョコレートを

湯煎にかけながら溶かし、

温度を45℃位まで上げて、

次に冷煎でグ――ッと27℃位まで下げて、

再び湯煎にあてて

30℃位まで徐々に上げてキープ

みたいな感じです。

 

温度はカカオ含量でまた少し前後しますが、

大きくはこんな感じで

こうして型(結晶)を整えていくと、

3人でピカッと輝く結束力が生まれるのです。

 

個性が強いので、なーなーではいかないんですね。

でも、気持ちが合った時の

その輝きは素晴らしいのです♪

 

で、

これがなぜ「くちどけ」につながるのかと言えば、

ステアリン君とパルミチン君は

熱い熱情がこないと心が緩まないんだけど、

オレイン君はそんな二人の心が緩めば

一気に心が緩む。

 

これをチョコレートで当てはめると、

室温ではかたくて溶けないけど、

手に持っていたり、

口に入れて舌に乗せていると、

その温度で温められ、

あとは一気に溶けてしまう。

 

これが「くちどけ」となるわけです。

 

ちょうど体温位で溶けるだなんて

すごーーく偶然というか、

不思議ですよね。

なので、

作ってみるとはまってしまうわけです。

 

チョコレートは奥が深くて、

本だけでも沢山沢山出ています。

謎な面がまだまだ多いので、

あれこれ本を読んでみるのも楽しいですよ♪

 

 

 

 

いつも読んで下さり

本当にありがとうございます☆

 

お菓子作り A to Z

次は「U」です。

 

 

どうぞ宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

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