イタリアブランドと色(Emilio Pucci その2) | 色彩認定講師カラリスト三本由美子(Fiore Rosso)のブログ

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「色」に興味のある方、「イタリア」に興味のある方,イタリア語を学んでいるカラリストの立場で、「色」と「イタリア」に関する事柄を綴っていきたいと思います。
お伝えした記事でいづれかの、あるいは両者への興味が増して頂ければ幸いに存じます。

エミリオ・プッチ(Emilio Pucci)

         と 鮮やかな色(I colori vividi) その2

 

 エミリオ(Emilio)の柄は一方では、グラフィカルで抽象的なデザインで色彩が万華鏡の中を覗いたように渦を巻いているのが特徴です。

 例えば、1950年代、シエナ(Siena)のパリオ馬紋章のついた旗など、目の錯覚に訴えるデザインと洋服との組み合わせは当時、オリジナリティーに富んでいました。

 

 因みに「パリオ(il Palio)」とは年に2回、開催される伝統行事。シエナに聖母マリアが出現したとされる7月2日の聖母の祝日と8月16日の聖母被昇天祭に市の中心にある扇型のカンポ広場(Paizza del Campo)で行われていて、10地区を代表する騎士たちが荒れくれ馬を巧みに操り、広場を3周する競馬です。競馬に先立って荘麗なパレードがあり、15C当時の衣装を身に着けた17 地区(これを「コントラーダ(contrada)=町内会のような機能を持つ」の旗を持った騎手の後に続いて登場し、競技を行います。つまり、コントラーダ同士による町内対抗戦なのです。

 

 

 シエナのカンポ広場    photoac より

 

 下のデザインはパリオ競馬紋章のついた旗の色彩を取り入れ、動きのあるモチーフを使用しダイナミックなイメージの配色で、高彩度のドミナントトーン+無彩色になっています。

即ち、イタリアの伝統的な行事とその旗の配色が融合された作品です。

 

「Emilio Pucci 1957 La Collezione Palio」

 Protago Editori Toscani 2007/1/1   の表紙より

 

 ところで、色彩学でいう「ドミナントトーン」とは、下記のような同一トーン(明度や彩度が同一)配色が最も典型的なものです。つまり、同一トーンであれば、どの色相の色を使っても、トーンがもっている感情効果としてのイメージは、共通しているのでイメージ表現に有効的な配色なのです。ここでは、中明度、高彩度のトーン(色調)で、つまり、ヴィヴィッドカラー(I coloi vividi)で統一され、このヴィヴィットトーンがもっている感情効果としての「鮮やかな、生き生きした、派手な、目立つ」イメージとなります。

 

ブル・ヴェネツィアーノ 109

ジャッロ・ポンペイアーノ035

ネーロ O    ビアンコ M   標準ロッソ

 

 

 その後、プッチは1964年にはアメリカのブラニフ航空の客室乗務員の制服をデザイン。1971年アポロ15号使節団のロゴなどを製作・・・ 以上。

 

 プッチの作品の特徴は、イタリア芸術の色合いを参考にしつつ、イタリアの自然や都市の歴史を創作のベースにしていたのでした。

 

参考文献;

*「イタリアの伝統色」 城一夫 長谷川博志 パイインターナショナル 

* 色彩検定公式テキスト  2級編   公益社団法人 色彩検定協会

*「エミリオ・プッチ」インターネット

*「Emilio Pucci 1957 La Collazione Palio」Protagon Editori Toscani