白い血の病とダイ冒険王の鼓動(ビート) | せいぜいひまつぶしの小話

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5年目から創作系ブログとして新装開店しました。
色々と思うところ書いてます。講談社への抗議不買は一生続けます。
2022年12月からは小学館もリストに加わりました。
「人を選ぶ」とはつまり「自分は選ばれた」ということです。

むかーし、むかし、
漫画とアニメとゲームだけが生きがいだった子供時代。
TBSが夏休み期間中にやってくれていた『夏休みアニメフェスタ』は、
あの頃のぼくにとって宿題の後に待っている楽しみのひとつでした。
あとNHKBS第2でやってた夏休みアニメ劇場もですね。メイドイン昔話のお時間です。

放送の中身は当然、TBS系列でやってた作品の再放送が中心となるわけですが、
当時は『少年アシベ』『ドラゴンクエスト~ダイの大冒険~』なんかがやってました。

本放送から30年近くも経ってまた今さらアニメ化するって話ですが、
原作通り全部やろうと思ったらどんなに急いでも2年以上、
まともにやれば確実に3年分の放送枠が必要になるわけですが、

しかも今度は“原作未完”の言い訳が使えないのにどうするつもりなんでしょう?
それとも深夜のオタク向けみてぇーに年単位で間を
ドップリ空けて分割何クールとかでヤるのかな?


まともにモノを考えるオツムがあれば誰もが頭をもたげる不都合な疑問から目を背けて
「楽しみ」とか言ってしまえる信者と養分熱心()なファンの皆さまにおかれましては、
せいぜい予習がてらに原作漫画でも読み耽りながら「この話やんねーだろーな」と、
期待値の微調整と予防線を張りながら待つがよろしいでしょう。
これらの指摘が杞憂に終わることを心よりお祈り申し上げます。

打ち切りから復活を果たした『勇者アベル伝説』の奇跡を期待しても望みは薄いでしょう。
景気は悪いし、過去の栄光にしがみついたしみったれに運命が味方するとは思えません。

『ダイの大冒険』は子供の頃に大好きだった作品ですし、今もそうですが、
もういい加減ガキじゃないんであの頃のような気持ちで見ることは出来ません。
じいさんから聞かされた昔話の意味が、大人になってからようやく分かってきた気がします。

以下の物語はあくまで“寓話”であり、その解釈は個人の自由ですので、
現実との符合はあくまで個人的な解釈と偶然の一致である

ということを、予(あらかじ)め断っておきます。どうぞ勝手にムカついてください。


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むかーし、むかし。

平和だった人間の世界は、ある日突然バーン!と現れた魔界の大魔王と
魔物たちの軍勢によって、その命運は尽きようとしておりました。

大魔王と魔物たちの圧倒的な力の前に人間たちは成す術も無く、
誰もが神に祈るしかない絶望の中、ドラゴンの力を宿した1人の“勇者”が現れました。

人々の祈りが神さまに届いたのでしょうか?それは誰にも分かりません。
ドラゴンの勇者とその仲間たちは死闘の果てに大魔王を討ち倒し、彼らに勇気付けられた
人間たちは魔物たちの軍勢を退(しりぞ)け、世界には再び平和が戻ってきたのでした。

やがてドラゴンの勇者と仲間たちのダイ冒険の物語が遠い過去の伝説として
語られるまでになった頃、世界は再び新たな脅威に見舞われます。

バーン!ならぬヴァンと現れ出デル神出鬼没な闇の住人たちとその使い魔は、ゲームでも
楽しむかのように人間の世界を蹂躙し、いつ終わるとも知れない恐怖と不安の日々が続く中、
そんな暗黒の時代を終わらせるべく、1人のバスター(退治屋)が立ち上がります。

伝説の再来を予感した人々の鼓動(ビート)は期待と興奮に高鳴るばかり。
しかしそんな誰もが注目せずにいられなかった冒険物語の王道みたいな
バスターの大活躍も、ある日を境にその行方が分からなくなってしまいます。

「爪が割れた」「爪が生えなくなった」

漏れ聞こえる噂はどれもこれもあやふやで、正確なところは何も分かりません。
そのうちヒョッコリ戻ってくるだろうと、みんな最初のうちは余裕で構えていましたが、
3年が過ぎ、5年が過ぎても梨の礫(つぶて)となると、「爪が割れた」くらいの
ことでは誰も納得出来なくなります。

何の音沙汰も無いものだから、噂の真偽は正されることもなくどんどん大きくなり、
やがて“白い血の病”の噂がまことしやかに流れるようになるのですが、
それでもバスターの行方は誰にも分かりません。

どこで何をしているのか?まったく何の音沙汰も無いものだから、
いい加減しびれを切らす人たちが現れ始めてもおかしくありません。
彼らはバスターの大活躍に期待するのをやめ、自分たちの力で、自分たち独自の
やり方で、闇の住人たちとの戦いを続けるようになりました。

「なんだ、やってみれば俺たちでも意外と出来るもんだな」
気付くのは時間の問題でした。


行方知れずとなってから10年が経とうかというある日のことです。
バスターはとうとう戻ってきましたが、長年の沈黙を破るどころか長年の行方不明に
関しては完全にダンマリを決め込んだまま、冒険物語の王道みたいな10年前の続きを
しれっと再開するのですが、それを素直に喜べる人はどれだけいるでしょうか?

「“白い血の病”でなければ何なのか?」
「10年間何をやっていたのか?」

誰もそれに応えてはくれませんでした。冒険物語の王道みたいなバスターの大活躍は、
今もダンマリを決め込んだまま細々と続いています。


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まるで98代目の内閣総理大臣みたいに肝心なことに関して

ダンマリ決め込んだまま説明責任を果たそうともしないで

商業誌の連載を10年サボった『冒険王ビィト』の作画担当の

あまりにも不誠実で不明瞭な対応と、

それに何の異も唱えないカルト化したファンコミュニティには

心底愛想が尽き果てましたが、自分の好きだったものに幻滅させられる瞬間というのは、

不本意ではありますが誰でもいつかは経験するものです。
13巻折り返しより、これじゃあ納得出来ません
出来ればそんな目には遭いたくないものですが、そうした不幸や不都合をキチンと受け止め、
積み重ね、乗り越えることによって、人は“見る目”を養っていくものなのかもしれません。

子供はいつまでも子供のままではいられない、ということです。多分。

〈終わり〉

 

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追記:

アニメで何年かかるかは、1話19ページの週刊連載の場合、連載期間 ÷ 3 で

おおよその数値が割り出せます。当然ですが休載期間は差し引いて下さい。

 

↓今も好きですよ