7-12 ヒカリの進むべき道 3 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

 大きく変わったことの二つ目はぼくではなく、ヒカリに関してである。ヒカリが高校生になった。

 ヒカリは幼い頃より絵を描くのが好きだった。その才能を伸ばすために、ヒカリを美術科のある学校に行かせたかった。

 が、県下に美術科がある高等学校は一校しかなかった。

「うーん、困ったな」

 と思い悩んだのは嘘で、進むべき道はヒカリが小学校の頃からすでにはっきりしていた。 

 県下に一校しかないその高校は、なんと家から歩いてわずか十数分の場所にあった。

 ヒカリが通っていた中学校の向かい側にあり、この驚くほど都合のいい偶然の背後にも見えざる導きがあったと思わざるを得ない。

 クラスの定員は四十名。県全域が受け入れ対象であったので、遠くから通う生徒もいた。

 通学に往復四時間かかったり、淡路島から船を使って来る生徒もいた。

           ヒカリの通っていた高校(明石―2018年)

■ フォト 「人丸少年団――カレーパーティー」

■ マップ 「ヒカリのスクールライフ」

 

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