カルチャー・ショックだったのは、マキラ州で<シックス・マンツ・プディング>と呼ばれている伝統食だった。
他州においてプディングといえば、ココナツミルクをまぶしたイモ類を石蒸し焼きにしたものを言う。
マキラでは違った。プディングはココナツオイルに漬け込まれるのである。
問題はプディングが漬け込まれる期間だ。
それは名前の由来でもあるシックス・マンツ――つまり六か月である。
ただし、実際はきっちり半年間漬け込まれることはなく、現代では数週間から一か月がせいぜいだった。
いわば一種の発酵食品なのだが、なにしろ長期間置いておくのだから、臭いはなんとも言えないぐらいに酸っぱくてきつい。
マキラ人はシックス・マンツ・プディングを普通にいただくわけだが、これを初めて口にする人間はまず戸惑うに違いない。
シックス・マンツ・プディング