肝心のテレビ番組だが、放送は撮影の一か月半後にされた。六日かかって収録したぶんは、コンパクトに三十分以内によくまとめられてあった。
ビリーとオルータを含む村人たちへのインタビュー、ビリー一族との食事会、マーケットやレリー島の風景、ヒカリがアダコアの子供たちと遊んでいる様子、ぼくがカヌーをこぎ、モニカが石蒸し焼きを実演しているシーンなど、ドルフィン・センターのエッセンスを抽出した素晴らしい内容になっていた。
イルカもしっかりと映り、俊敏に動き回る群れを見事に収めたシャイなカメラマンに対してぼくは惜しみない拍手を贈った。
そして問題のラストシーンとなった。
「思うようにいかないことも一杯あるけど」
まず語り始めたのは、モニカの方だった。
クワイ・ハーバー沖合(2007年)