6-16 取材班との時間 4 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

 別れがほんのり寂しかったのは、それだけ二人と過ごした短い時間が楽しかったからだ。

 毎日、収録の合間にぼくとモニカは二人と座り、あれこれと世間話に花を咲かせた。
 仕事柄、二人は様々な文化を訪れてきた。体験談を聞くのは興味深く、刺激に満ちていた。

「将来ぼくが成功したあかつきには、また取材に来てください」
 冗談交じりに言うと、ディレクターは大真面目な表情で、
「分かりました。その日を楽しみにしています」
 と答えてくれた。
 別れの握手を交わすと、二人はアダコアを去っていった。

 その二週間後にぼくら家族も日本に帰ることになった。

■ フォト 「母と子」

虹のヒカリ(アダコア――2007年)

 

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