別れがほんのり寂しかったのは、それだけ二人と過ごした短い時間が楽しかったからだ。
毎日、収録の合間にぼくとモニカは二人と座り、あれこれと世間話に花を咲かせた。
仕事柄、二人は様々な文化を訪れてきた。体験談を聞くのは興味深く、刺激に満ちていた。
「将来ぼくが成功したあかつきには、また取材に来てください」
冗談交じりに言うと、ディレクターは大真面目な表情で、
「分かりました。その日を楽しみにしています」
と答えてくれた。
別れの握手を交わすと、二人はアダコアを去っていった。
その二週間後にぼくら家族も日本に帰ることになった。
虹のヒカリ(アダコア――2007年)