ぼくらはモニカの実家を出て、再び明石に住むようになった。同時にぼくは生活を支えるためにアルバイトをすることになった。
――明石天文科学館。
というのが新しい住まいの近所にあった。
天文科学館は日本の標準時を刻む子午線の上に建っていた。ぼくはこの横を通ってヒカリを明石公園へ遊びに連れていったりした。
ぼくが働くようになったのは、町の小さなリネンサプライ工場にてだった。従業員は二百名ほどで、ほとんどがパートタイマーだった。
工場は家から二十分の場所にあった。ぼくは晴れた日も雨の日も、風や嵐の日も自転車でこの道のりを走り続けた。
工場では市の内外に広く点在するホテルや旅館からタオルやシーツ、枕カバー、浴衣、テーブルクロスなどを回収してきて、業務用の洗濯機と乾燥機できれいにしたのち各ホテルに納品した。 タオル部門に配属されたぼくは、バスタオルとハンドタオルを一組とし、それを専用の機械に通してビニール詰めにする仕事を与えられた。
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夕暮れの明石市立天文科学館(2006年)