長い話を無理やりに縮めると――。
すでに述べたようにぼくとモニカは日本ソロモンを行ったり来たりしていたわけだが、ぼくらがいない間も客がドルフィン・センターを訪れることがあった。
ぼくらがタイミングよく現地にいればぼくらが対応し、いなければビリーやオルータ、ジュニアが客を迎えた。
さて、これから語るのはしばらく日本で過ごしたのちアダコアに戻ったときの話になる。ただしぼくらは二人だけではなかった。
今回は友人のエミリ、エミリの幼なじみのアミ、そしてタカに紹介されたアダチという男と一緒だった。エミリはアダコアを何度も訪れているドルフィン・センター初のリピーターである。
神戸の養護施設で働いていたエミリはしばらく仕事を休んでこの旅に臨んだ。小柄でどちらかというと細身のエミリは大のイルカ好きだった。
イルカはテレパシーで会話するというが、エミリが実際になにかを言うよりも先にぼくにはなんとなく彼女の考えていることが分かった。だからエミリといるのは楽だった。
波長が合うというか心が通じるというか、やはりテレパシーでつながっているとしか言いようがなかった。