●宋家王朝(上・下)~中国の富と権利を支配した一族の物語 @スターリング・シーグレーブ | ★50歳からの勉強道~読書録★

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本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

日中戦争の本を読んでると、必ず、絶対、
宋慶齢・宋美齢の姉妹が出てくる。
だって一人は孫文の妻、一人は蒋介石の妻。


これだけでもすンごいのに
一番上の姉は大金持・孔祥熙の妻。そして
弟の宋子文は「世界一の大金持ち」だー!


表向きは外交家、銀行家、慈善家だったり
するこの一族の「本当の顔」は長く秘められ
戦後、初めて2つの暴露本が出た1984年
この本の著者は、CIAの知人に警告を受けて
3時間で速攻国外脱出したけれど、、
「蒋経国伝」のヘンリー劉は暗殺された。




まぁ、作家の暗殺くらい驚くに当たらない。
この本の中で栄華を極める
宋一族、蒋一族、孔一族、全ての大元締めは
青幇(ちんぱん)というヤクザで、
全くもって映画ゴッドファーザーの世界。
いや、それより規模が大きいかな?
国家を丸ごと食い物にし、
世界に広がるファミリービジネス。

青幇のボス杜月笙  「大耳の杜」はほぼ家族。
蒋介石を権力の座に押し上げた。


浙江財閥の張静江は、百万長者の「骨董の張」
パリとニューヨークに店を持つ骨董商



ファミリーの始まりはチャーリー宋。
麻薬などの海上交易で富を得た家系で、
本当の名は「韓」だった。    アメリカに渡り
中国でキリスト教伝導師になる教育を受け、
帰国後、孫文の中国革命に協力するんだ。


事業家に転身し、印刷業で富を築いた
父チャーリーと母マミー。
3姉妹・3兄弟ともアメリカに留学させ、
英語ペラペラ、クリスチャン、学歴も華麗な
まさに「善良な中国人キリスト教徒一家」

チャーリー宋。孫文の革命の資金提供者



しかし!  裏は酷い。本当にひどい!
目が潰れる~、肝つぶす~、オーマイガッ!
歴史も経歴も、全部作っちゃうんだ。


チャーリー宋伝説はバカバカしいデタラメだし
本当の孫文は間抜けな嘘つきドンキホーテ、
蒋介石は元々、青幇のプロの殺し屋で
独善的で凶暴なカンシャク持ちの異常性格。

でも、そういう過去は全部消す!
敵対者も、裏切り者も全部消す。抹!殺!

1924年、黄埔軍官学校の開学式典。
蒋介石、孫文、宋慶齢



中国人は何より家族や仲間を大事にして
「一族の利益」を何より優先するんだけど
その家族の中は、思ったよりドロドロで、、


●【金を愛した】長女・宋靄齢(あいりん)
権力者蒋介石を取り込むべく、妹・美齢と
結婚させた宋家の頭脳。殺し屋を持つ。
「靄齢が男だったら蒋介石は15年前に死んで
彼女が中国を支配していただろう。」
金融家の孔祥熙とは日本で結婚している。




●【国を愛した】二女・宋慶齢(けいれい)
妻子ある50才の孫文と20才で駆け落ち!
父チャーリーの反対を押切り東京で結婚し、
孫文の死後は、蒋介石の暴政に憤慨して
一族と袂を別つ。反蒋介石運動の旗手となり
姉・靄齢から暗殺も計画された。
周恩来と親しく、のち中国共産党副首席



●【世界最大の富豪】長男・宋子文(しぶん)
ハーバード卒。超優秀な財政家で
蒋介石政権の財政を担い、アメリカからの
援助資金を、ほぼ懐に入れるシステムを
構築し、管理し、有効活用した。



●【権力を愛した】三女・宋美齢(びれい)
蒋介石には妻子があるのに、政略婚した。
義理の息子・蒋経国に「この人は私の母では
ない」と言われ、蒋介石死後ずっとバトル。
「世界一の『上に立ちたがり屋』」

1943年宋美齢と、可愛がっている甥、姪。
つまり姉、靄齢の子供達。左から、ルイス孔
ジャネット→「なみはずれた傲岸」
ディビット孔→「振る舞いまことに凶暴」




なんといっても断然、目を見張るのは   
蒋介石夫人・宋美齢のキョーレツ!   と
アメリカと中国のズブズブの関係。(@_@)


アメリカは完全に宋美齢に籠絡された。
大戦中1942年、ルーズベルトの賓客として
私邸とホワイトハウスに滞在し   (°Д°)
側近の政治家も、マスコミも味方につけ
巨額の援助資金を取り付けている。
この外交手腕凄すぎ。そりゃ日本敗けるワ。

ルーズベルトの妻エレノアに
「彼女を助けてあげたい、娘のように面倒を
みたい」と言わせた。




タイム誌・ライフ誌も取り込んだので
「復仇の天使、正義のために恐れを知らず
闘う戦士!」 やら 「群集、蒋夫人に歓呼!」  
やら、ニューヨークに集まった民衆5万人。


講演では、「蒋介石夫人のマーチ」が演奏され
そこで彼女は日本軍の残虐行為を
感動的にアピールするのだ。  とほほ。

1943年・カイロ会議はルーズベルトの招待。
蒋介石、ルーズベルト、チャーチル、宋美齢
   ◆因みにイギリスは、蒋介石夫妻を
      まともに扱わず、無視している。




アメリカからの何十億ドルもの援助資金は
宋家の銀行から、ほぼ一族の懐に入る。

しかも蒋介石は、援助への感謝など口せず、
「額が少ない」、と文句を言い
次々要求を持ち出して、容れられなければ
日本と単独講和に踏み切る!
モスクワから援助を貰う!と脅す常套手口。


全く信じ難い感覚だけど、金正恩を頭に
浮かべたら、なんとなくワカル気も。。?

そのうちアメリカも宋美齢を「厄介な客」と
疎むようにはなるんだけどね。おせーわ。

毛沢東、宋慶齢、周恩来
宋慶齢は共産党員にはならなかった。
が、毛沢東らは彼女の権威を利用した。




中国のロビー活動ってホント凄まじいなぁ。

▼有力政治家、軍人に狙いを定め
▼胸襟を開いた交際で心を掴み
▼賄賂と贈物で金漬けにし
▼マスコミを取込み宣伝記事を書かせ
▼その為には毎年数億ドルでも費やし
▼批判や不利な情報は徹底して潰す
・・・  しかもバックに怖い人たち。


「 宋家の人々は易々と欧米人を手玉にとり
とりわけアメリカ人官吏にはらくらく
自分達と同じ見解を抱かせた。」


これ、今でもやってる伝統芸なのね。
正直とか、誠意とか、そういう言葉を
一切持たぬ、想像を絶する星の生物であった

1939年。美齢、靄齢、慶齢。
孫文夫人の慶齢が最も美しく、唯一まとも。


追記)   2019.8.22
馬渕睦夫大使のディープステートを知ると
宋一族もルーズベルト周辺の金融資本家に
利用されていた、、ことが判る。
こんなに「アメリカ」を味方につけて
九分通り中国を支配していたのに
最後にあっさり、共産党に逆転負けした・・
という結果がそれを物語っている。
世界は深い。。。