●道教の世界 @窪徳忠 | ★50歳からの勉強道~読書録★

★50歳からの勉強道~読書録★

本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

いや、面白いね、中国の神様たち。
日本にも沢山の神様仏様がいるけれど、
中国でも同じく古代精霊信仰に始まり
道教・仏教の神様、古代皇帝や英雄・関羽やら
・・何が何やら渾然一体。全部お祀りしちゃう。


儒教は哲学的な色合いが強いので
これを除けば道教は唯一、中国発祥の宗教で
魔除け、占い、長生き、なんでもござれ。
明るくゲンキン、そして何故かユーモラス♪






中国古代からの民間信仰では、
福・禄・寿の実現による現世利益が目的だ。


竈の神様は年末になると、一家の人達が
一年間にやった良いこと、悪いことを
報告するために天に昇っていくので、
竈の神様の前で悪いことをしてはいけないし
悪い報告が出来ないよう、唇が粘り着くアメ
をお供えしたりする。  可愛い(^^)


良い地相の場所に家や墓を作れば、家族が
繁栄するので、「土地公」を勧請。
土地公さんの誕生日である、旧二月二日には
お祭りをし、土地公さんが連れてくる友達の
杯まで沢山用意してあげる。  優しい(^^)v

山上の龍神から流れる龍脈の土地で
黄金や白玉が出る、とアピールしている。




なんだか発想が全てにおいて面白い~。
中国の神様には、みんな誕生日があって、
暦にぜーんぶ書いてあるそうだ。


さらに、道教では一番偉い最高神が
時代によって交代したり?
あの世の功績によって昇進したり?
転任したり?する。
こんな宗教、世界中どこにもありませんね、
と著者も楽しそう。(^^)
始皇帝も神様にされているけど、なぜか
実在の皇帝は皆、地獄の神様なんだって。

台湾の神相図。
三段目の右が観音さま、隣に関羽。??





道教、といえば始祖は老子と
思われるけど、それは後付けで、
本来は日本の神道と同じく教祖のわからぬ
自然宗教なんだ。


老子を教祖としたのは7世紀頃からで
そもそも実在の人物でもないらしい。


孔子に説教した、という逸話は儒教からの
攻撃に対抗する作り話のようだし、
老子の著作という「道徳経」には、後の儒教や
仏教の内容が含まれてたりして、
研究によると紀元前4~2世紀までの道家の
格言などを誰かが集めて整理したもの、と。

なんと老子が仏になって説教中。(^o^;)




空を飛んだりする「神仙思想」も特徴的で
これは日本の修験道みたい。

天仙になるには「千二百善」が必要で、
中国人が老人を尊敬するのは、長生きが、
「徳を積み、善い行いをした結果」だからだ。
この「積徳」の考えがまた面白い。


「功過格」という本があって
親の名を上げると50功、親に怒鳴ると10過
重病人を救うと30功、
先生や年長者をそしると10過
夜裸体で起きてると1過、、なーんて、
年末に自分の善悪行の点数計算する・・って
珍しい~。と思ったら和刻本もあるそうな。

気を整え健康になる導引法はヨガそっくり。




道教が教団になるのは2世紀の太平道からで
以後、三国志でも活躍する五斗米道~
天師道(正一教)、太一教、全真教・・など、
どんどん仏教の影響を受けてお経も作った。


道教は台湾、シンガポール、マレーシア、
インドネシアにも広がっていて
もちろん日本にも、昔からずーっと。
夜、爪を切ってはいけません、って
小さい頃言われたのは、道教だったんだな~

庚申信仰の本尊、青面金剛





空海は三教指帰で儒教、道教、仏教の比較を
しているし、特に江戸時代に盛んだった
庚申信仰は、平安時代の藤原頼長の「台記」
から、徹夜する様子が書いてある。


庚申さんの日は精進し、女性の洗髪やお歯黒
も禁止、男女の同衾もできない。
ちなみに、庚申生まれの子は盗人になるので
最初からお金を持たせておくと良い、と
お鉄、お銀、など金偏の名前をつけた。
夏目漱石が「金之助」なのも、庚申の日生まれ
だからだそうだ。


我が家の近所にも庚申塔。
庚申の日、人間の体内に棲む三匹の虫(三尸)
が抜け出し、天帝に悪事を報告すると
寿命が縮むので、眠らずに過ごす。(庚申待)





この本は30年くらい前のものだから
現代の中国人は、もう違うだろうし、
今はトラブルばかりで好感度低いけど、、


邱永漢さんが、中国人は大阪商人だと思え!
って言ったように、全ては超現実的。
でも、根はオモロイ奴なんだろう、、とも
思いたい。こんなに文化が同じなんだから、
仲良くなれればいいのにね。