もともとこっちが目的なんだが、
その他の時代が面白すぎて。
これは梅原先生、2013年の本だけど、
内容は1989年の「人間の美術 ①縄文の神秘」
から、梅原先生の部分を抜粋したもの。
なので終始、美術的な見地から
縄文土器や土偶の美しさや、意味を考え
写真も沢山掲載されている。
昔から縄文土器の “美しさ” に魅せられる人は
多かったけど、かの岡本太郎が
「日本においてただ一つの優れた芸術」、と
熱狂的に賞賛したことで、
縄文土器は「芸術」の高みに上ることになる。
岡本太郎はパリで抽象芸術を学び、
ピカソを尊敬している。
そのピカソが抽象芸術を創造したのは
黒人芸術の影響、なんだって。
八ヶ岳山麓付近の「勝坂式土器」は
蛇を中心に、動物紋様が多い。
でもね、顔と胴体のバランスが異常で
人間と動物が交じった姿は、
黒人が心を込めて作る「祖先の霊の像」なのだ。
それをピカソはデフォルメされた人間と
誤解し、(あるいは故意に誤解し・・)
前衛的な芸術へと高め、
それを学んだ岡本太郎が、縄文土器に
打たれる、、てワケ。
梅原先生の美術講義も勉強になるよ。
19世紀末にリアリズム芸術は完成し、
これを崩して、新たな芸術を創造せよ、
という芸術運動が始まる。
この第一歩がゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ
の印象派で、日本の浮世絵の影響を受けて
画面を光と色に解体した。
縄文中期 モチーフは蛇? 曲線の躍動感
さらにそれでは不十分!と、ピカソは
一切の具象的な形を否定し、黒人芸術に
ヒントを得て、色と形で自由な芸術を創る。
こうして発生した抽象芸術が、約一世紀間
世界の芸術界を風靡し、日本においては
岡本太郎がその輝ける旗手となったんだ。
そして何より、縄文土器は世界最古なのだ!
新式のカーボン鑑定によると、
メソポタミアの8000年前より4000年も古い
1万2000年前。(wikiには1万6000年と・・!)
この測定結果を学者たちは信じなかった。
日本文化は海の外から来たもの、でなければ
ならない・・と、メソポタミアから3000年後の
5000年前、てことにしよう。と。(*_*)
でも今や、測定は正しい。と証明された!
縄文時代草創期→1万2000年前~7000年前
前期→ ~5000年前
中期→ ~4000年前
後期→ ~3000年前
晩期→ ~2000年前 となる。
日本ってスゴくスゴく、古いんだよ。
メソポタミアよりずっと古い! 不思議だ。
デザインも磨消紋様で洗練された。
そして梅原先生は
「日本の土偶ほどおもしろいものはない」 と。
どの国の物とも全く違い、
縄文早期から晩期まで数限りなく生産された。
どうしても子供の出産に関係があると思える。
生命の再生?祖先の霊送り?
もしかして、腹を割って子供を産む?
梅原先生は 「土偶は死んだ人間だ」という。
そして「沈痛な表情をしている」 と。
縄文土偶に沈痛な表情を読み取らず、
ただ素晴らしい、と賛美し、単に
遮光器をつけたイヌイットの姿に見立てて
「遮光器土偶」なんて名付けたのは、
人間の精神に鈍感な、近代人の発想だ・・・
と、梅原先生は嘆いているよ。
あの世とこの世は、あべこべの世界。
この世で完全なものはあの世で壊れる。
この世で壊れたものはあの世で完全になる。
死と再生に深く関わる、思いやりの思想。
そして、その根源をアイヌに見る梅原先生の
哲学、宗教、歴史、美術の授業。面白い。
縄文って、日本って、深いなぁ。
世界最古の人類文化・・だったりするのかな?
急に足下が気になる。えらいこっちゃ。